究極の自主映画。
そして最高に幸せな劇場体験。
大阪の700人以上入るTCXスクリーンの劇場が満員の中で爆笑と拍手が起こる。帰りのエレベーターは長蛇の列で終電やばくなるほど。
かつて自主映画をやっていた時に、またこの業界に進んで現実を知っていった時にこんな作品と出逢えるなんて思いもしてなかった。
この作品の本当に素晴らしい所は、その完璧な伏線回収力でも、魅力的な脇役でもなく、弱者がひたむきに夢を叶えようとする姿にある。いや叶えようともしていない、ただ真っ直ぐに自分の仕事を表現しようとする姿が、この作品を作った人々とも重なり、何重ものメタ構造になって観客に届いたのだろう。
日本人はこういう社会的弱者が皆で協力する話になると、最高にうける。踊る大捜査線やシンゴジラの系譜にも連なって新たなマスターピースとして語り継がれるだろう。
そして、これから日本映画にひとつの前例を作ってしまった。低予算でもアイディアと情熱があれば、安っぽい演技と映像でも前代未聞の奇跡を起こせるという証明だ。もしかしたら、何かが変わるかもしれない。
とにかく愛が奇跡を起こすことを証明した映画がここにある。今ここでDVDやネット配信などではなく、劇場で知らない人々と共に奇跡を体感すべきだ。日本映画の歴史が動いた瞬間を味わえるだろう。
作品とは、観客もまた一緒になって作るものなのだと教えてくれた。
