このレビューはネタバレを含みます
映画館は笑いの渦!そしてとにかく、設定が紛らわしい!笑
「カメラを止めるな!」は、「ゾンビ映画を撮ってるうちにホンモノのゾンビが出てきてしまう」脚本の映画だ。
でも勿論、映画だから、ゾンビは偽物のはず。だからメイクもセットも用意した。
だけど主人公の2人からしたら、冗談になってない!暴走するゾンビは本物!
でもホンモノじゃない、それはハプニングだから。ハプニングが重なった結果、演技が限りなくリアルになってしまっただけだ。
でもほんとにほんとに伝えたいのは…やっぱり「ゾンビは本物!ってかみんなゾンビだから!」だと思います!
この、とんでもないマトリョシカ的ゾンビ仕掛け!ゾンビ問答!
めちゃくちゃ笑いました!
だってマジでゾンビやんか。アル中もクレイマーっぽいお腹弱い野グソ君も。自分で自分がコントロール出来てないモンスターですよ。
それだけじゃない、主人公の2人の俳優さんだって、TVのディレクターも、中身からっぽのゾンビではないのか。ゾンビだらけじゃないか。
世の中に溢れている人間味のないゾンビたちを皮肉っているのでしょう。「お前らもっと生きろ!」
ただ、ゾンビにもやっぱり良いところがあって、それは死んでも復活するところです。斧を頭に突き刺されても、復活してしまう監督の奥さんのように。
人間だって、復活できるはず。「諦めるな!復活しろ!」
主演の娘の女優魂も、引退してしまった奥さんの女優魂も、一度は死んでしまいました。でも、この映画で復活するのです!
監督も、くだらない仕事ばかり引き受けて一度は自分の映画愛を殺してしまいます。でも、この映画の開始とともに、映画愛は完全に復活するのです!
冒頭の圧巻の罵詈雑言がアドリブだと知った時めっちゃ笑いました…
監督と娘の関係性も、一度は壊れてしまいます。でも、肩車の写真を見た娘の機転によって、見事なカメラワークを作り上げます。そして、撮影をきっかけにお互いの映画愛を共有し、親子の絆は復活するのです!
元々「映画を撮っている」映画を撮ってるわけですが、みんなの復活のきっかけとなるのは映画の撮影ですから、映画を撮ること自体の素晴らしさが強調されていました。
さらにはエンドロールで、全ては計算尽くして撮影されていた事実を観客に知らしめます。
それはもう1次元上の立場から、改めて映画の面白さを伝えるものでした。
いやー映画愛ですね…
でも1番ゾンビなのは「カメラを止めるな!」を作った上田慎一郎監督自身で間違いないでしょう。
彼は、中学時代から映画撮影を始めたものの、夢破れて専門学校を退学し、東京で詐欺にあったり借金を背負って一時期ホームレス生活したり、ボロボロだった人らしいです。
ほんとに、死に体からの、ゾンビ並みの復活劇ですよ!
このミラクルを起こしてくれはのは紛れもなく映画製作なのですから、上田監督にとって、絶対に「カメラは止めちゃいけない」のです!