言質を取るまでもなく──三谷幸喜的コメディの意匠を借りて、B級ジャンルムービーからのアプローチにより、馴れ合いの日本エンタメ界に一石を投じてみせた秀作。
それがただのフォローワー、またはパロディの域に留まらず、上田慎一郎という記名性にスポットが当てられる所以は、ゾンビとの戦場に飛び散る血と汗と、それを見た私たちの涙にそのワケがある。
「カメラは止めない！」とは、映画を諦めない者の叫び。
カメラを止めるな！
映画を諦めるな。
画面に映らない無様で滑稽な、泥臭いノンフィクションが立ち現れる。
青臭い情熱と、たゆまぬK.U.F.U.（=工夫）だけを頼りに夢を見続ける愚か者たちの、あまりに眩しすぎる勇姿が。そのアンサンブルがクライマックスにまで突っ走るドライブ感、そして満面の笑顔に昇華されるエンドロール……図らずもこぼれ落ちた涙に、本作が笑って泣ける娯楽「番組」でありながら、“本物”の映画「作品」であるワケがある。
映画賛歌は、映画を愛した人生の賛歌だ。
カメラを止めるな！
人生を諦めるな。
……なんて、まぁダサい……ダサすぎる。けど、“ダサかっけぇ”。これが俺達のやり方だと言わんばかりの──彼らの愚直な映画愛、ガチな生き様に絶賛感染中だ。
