まっくろくますけ

ゴーギャン タヒチ、楽園への旅のまっくろくますけのレビュー・感想・評価

3.5
作中で何度か「野蛮」という言葉がでてくる。最初は相手を非難しているのかと思ったけど、ゴーギャンが妻・テフラのことを「野蛮であどけない。実に美しい」と言っていたのを聞き、「野蛮」って言葉は芸術家にとって誉め言葉なのかと気づきハッとした。でもたしかに、未開って意味には純粋さや、これからの可能性の大きさも感じる。

芸術って人のこころの栄養になるものだと思っている。好みも解釈も人それぞれだからこそ、食品や生活用品と違って価値をつけるのは難しい。そうした多様性が芸術の良さとも思うけど。芸術家からすると、世間的に評価されないと困窮してしまう。
万人受けするものを作れば、暮らしを豊かにすることもできるかもしれない。しかし、病気で貧乏だろうが誰に非難されようが、自分の信念をつらぬくゴーギャンはやっぱり本物だなと。絵を描く彼からは、勢いや生気を感じる。
そして、彼がタヒチで描いた絵のハッキリした線や色使いは、その表れなのかなとも思った。

ps. ゴーギャンの厳しい生活が淡々と描かれているから、観るのに根気がいるかも…!