ダニエルを立て続けに観て来て9本目。
これで引退発表をしたと言う印象に残る作品。自分に近い年齢の役柄を演じるダニエル、年齢を重ねた渋みと品の良さ、立居振る舞いのなんと素敵で格好良い事か...これで見納めなんだと舐めるように見つめました😍...あ〜素敵✨
がしかし、役柄は独特。
「Phantom Thread」の直訳は『幻想の糸』
国は違えど『糸』は男女の結び付きを表す最も分かり易い例えなのか?
題名通りと言えるような不思議な作品でした。
1950年代のロンドン。セレブを相手にするオートクチュールドレスの仕立屋「ハウス・オブ・ウッドコック」を経営するレイノルズ・ウッドコック(ダニエル)と、そのミューズとなったアルマ(ヴィッキー・クリープス)のお話。
海外の王女までもが夢中になる評判のドレスを仕立てる技術とセンス、そしてレイノルズの容姿も含めてご贔屓が多い。
スケジュールは隙間なく、常に神経を過敏に過ごしているレイノルズ。
朝からしっかり自分のルーティンが決まっていて、その通りにならないと頗る機嫌が悪くなる。言わば我儘で自己中なのだ。
独身主義で生きるのも納得で、他人の隙いる間はないものとしている。
それを十二分に知り尽くし支えている姉のシリル(レスリー・マンヴィル)。いくら弟が社長であれ、財布も何もかも私が弟を操っているのよ‼︎と言わんばかりの気丈な独身女。
仕事に疲れたレイノルズは姉に言われたまま、ロンドン郊外の別荘に向かう途中のB&B(ベッド&ブレックファスト=朝食つきの簡易なホテル)でウエイトレスをしているアルマという若く垢抜けない女性と出会う。アルマを見た途端レイノルズは一瞬で、自分好みの理想の体型を持ってると確信し、速攻でデートに誘う。
そして自分の館へ連れて行き、直ぐ様、洋服を脱がせて採寸を始める。その時も姉シリルは付き添う。
とにかく、世間から見れば高級で上品で何もかもが理想的に思える仕立て屋の中身は、他人からは想像も出来ない異常な世界が繰り広げられている。
田舎者のアルマは食べ方もガサツ、食事中に音をカタカタ鳴らしても気にするような生活をして来ていない。初めこそ美しいドレスをあてがわれ、美味しい物を食べれて、イケメンと一緒に暮らす生活にルンルンしていたものの...直ぐに何かがおかしいと感じるようになり、自分の感性を信じ、レイノルズと共有したくなっていく...
アルマはレイノルズが心身共に疲弊した時のみ、アルマに身体も含め優しく従順になる事を知ってから、ある日、とんでもない事をレイノルズにし始める...
男女の愛なんて人の数だけある訳で、この映画のような人たちもそこいらにいくらでもいるのでは?
私はそれがどうと言う事でもなかった。
しかし、オートクチュールの世界をたっぷり見せてもらえ、建物から食器、小物一つとっても芸術を感じる美術がそれはそれは美しかった✨特にファッションショーはリアルさがあって、古くて狭い空間で実際に起きていたんだろうな〜とその時代に飛んで行けた🥺
この作品のために1年間ニューヨークの裁縫師のもとで修業して、本当にドレスを作れるほどになったダニエル。現実に愛する奥様の為に素晴らしいドレス👗を作ったらしい。
だからと言ってデザイナーになる!とか言って引退したのは、あまりにも究極過ぎませんか?何にでも一流になれるという証明かな?
是非とももう少ししたらまた戻って来てくれないかな?
とにかくいつもの事ながら、役に徹している演技は誰も真似できない程に浸透していた🌟
私は姉役のレスリー・マンヴィルの演技が、この作品を支えていると言っても過言でないのでは?と思っている。
異常愛の2人だけの話では、どうぞお好きに!と言うだけになる。それを姉が理解して側で暮らす。女の妙、悲哀、無情を表情と冷たい気を身体から発していて素晴らしかった👏
ゲイリー・オールドマンの元妻、私の好きな『家族の庭』での巧い演技も忘れられない。
※DVDだと特典映像が楽しみなんだけど、きっと見落とされている方がいるのでは?
とても分かり難い見出しで【食いしん坊へ】というマークがありクリックすると、別撮りなのか?カットされた部分なのか?雰囲気が変わる映像が挟まれていた。見逃さなくて良かった❗️
・冬の別荘地で戯れている2人(まるで普通のカップルのよう)
・公園のベンチに座るレイノルズとシリル。そこへ乳母車を押して行くアルマ。乳母車をシリルに任せ2人で散歩に行く姿。
・家の居間に赤ちゃんの歩行器。そこに突如現れる0歳児。それは紛いもなく2人の赤ちゃん👶なのだ。
この幾つかの映像はボツにしたものなのか?
敢えて遊び心で撮影したものなのか?
家族円満さを入れない事で作品は成立させておいた方が良さそうと思えた。
もしかして...
ダニエルの疲弊し切った撮影の原因の一つかもしれない...