「この……ブスのくせにっ!」と何度も毒づいてしまいました。アルマを演じるヴィッキー・クリープスの不貞腐れた顔をみて、何度も。
ちなみにヴィッキー自身は別の作品やレッドカーペットでは美女っぷりをみせてくれます。心がブスだとこうも醜くみえるのか、知らしめてくれた演技が見事です。
アルマは町のレストランで働く地味なウェイトレスでした。
ある日、ベルギー王室も御用達の仕立て屋を仕切る年上のレイノルズに気に入られ、自宅に住まわせてもらいます。
●フレなの?恋人なの?将来は??
レイノルズの気分ひとつで追い出されてもおかしくない不安定な日々。
どう考えてもモラハラ野郎なレイノルズの要求にも反目しながらも、従うしかないのです。
観客目線で憎たらしいのはレイノルズのはずが、
なぜだろう、王女様に対し「あたし、この屋敷に(通いではなく)住んでるの」と言っちゃうアルマの自己顕示欲になんか、イラっとくるのです
いるいる、付き合ったり結婚したりした相手や、気に入られた上役のパワーの威を借るひと。そんな良い目にあったことのない私の僻み根性を再確認させてもらいました。
ちらっとみせる上目遣いの目線だけで「構ってちゃん」オーラを全開にし、レイノルズのみならず、みている私たちもイライラさせながらも、なぜだかちゃっかりと確固たる座におさまるアルマ。
「アルマ……恐ろしい子!」
そんな彼女へのヒガミに似た感情は、世の中うまく渡りきれない自分自身への苛立ちでしょう。わたしの中のコンプレックスと醜い心を再確認しました。
レイノルズのお姉さんもいいあじを出してます。
ラスト、
果たしてアルマはあれで幸せなのか。