うわー！すごかった！PTA作品、自分にヒットすればクリティカルヒットなのに合わないととことん合わないなぁ。
身震いする美しさに隠された恐怖。俳優さんたちがドレスを扱う時の一つ一つの動きが正確でありながらもエレガントで始終美しい。ドレスに限らず最後のオムレツを作るシーンなどのように手の動きやバターが溶ける音など、細部までこだわりを感じられる撮影の美しさに恐怖が引き立ち身震いした。ダニエル・デイ=ルイス演じるウッドコックの(耳を疑うような事を言うが)言葉をちゃんと選ぶような喋り方が丁重で耳に心地よい。アルマ役のヴィッキークリープスも派手な表情や演技を魅せるシーンはほぼないにも関わらず、漂わせる雰囲気がコロコロ変わっていて凄かった。彼女の声と訛りもすごく好き。珍しくFワードが少ない映画であるために実際Fワードが出た時の衝撃的でその言葉本来のパワーが感じられた。
前半は映画のあらゆる美しさに魅了されながらもよくある天才で完璧主義な主人公にイライラしていたのだが、中盤からヒッチコックっぽい思いもよらぬ方向へ急展開。壊れた二人の歪んだ愛情(いわゆるヤンデレってやつ)、狂ってるのに美しさも感じられる。恐ろしい。2時間以上始終緊張感があり全く弛みがなかった。またすぐ観たい！と思うような作品とは違うがすごく良かった。アベルコジェニオウスキがサントラ作曲してほしかったなぁ。
