クリンクル

ファントム・スレッドのクリンクルのレビュー・感想・評価

ファントム・スレッド(2017年製作の映画)
5.0
ザ・マスターから一貫して、PTAは取り残されている男を主人公にしていると思う

主人公は完璧な男で完璧な服を作る
しかし、贔屓にしていた客が離れていったことからもわかるように、才能が及ばない時代の流れによってこの仕事は死を迎えようとしている
その才能を理解し、相互に必要な存在になりたいとコントロールするアルマはまるで監督脚本制作、そして撮影までも自身で行ったPTAのようである
アルマはウッドコックの絶対的な芸術が時代によって敗北することを決して許さず、比喩ではない本当の緩やかな死をウッドコックに与え、寄り添う
そしてウッドコックもそれを望む

PTAが映画に対して思っていることを描いた作品だというのは言い過ぎかも知れないが、この映画がダニエル・デイ=ルイス最後の作品であること以上に監督にとって重要な作品であると思う