えむえすぷらす

ファントム・スレッドのえむえすぷらすのレビュー・感想・評価

ファントム・スレッド(2017年製作の映画)
5.0
年の差カップルの行方。実際にありえるような話を虚構で敢えて見せている感じはある(両親が実際そういう関係だったのでどうにもこうにもちらついてしまう)。

「ゴーン・ガール」は夫婦対立を将棋の名人戦七本勝負に例えてみていましたが、本作の場合も激しい対立から意表を突く展開に突入。そして最後はPTAらしくどう捉えたら良いのか混乱する終わり方となっていた。
途中まではこれまでになく分かりやすい作品だったと思ったのですが、最後はやっぱりPTA。分かりやすい面白さは「インヒアレント・ヴァイス」が不動という結果だった。

アルマという名前は交響曲の作曲と当時有数の指揮者として知られたグスタフ・マーラーの妻が思い出される。このカップルの19歳差という年の差カップルであまりうまくいってはいなかった事で知られている。意図的な名前の選択なのだろうとは思います。

中盤からの展開、普通じゃないですよねえ。公式サイトのPTAインタビューなどチラッと見たら主導権について車の運転に例えていて、実際変わった瞬間からフォーカスされる事項が大きく変わっている。

年の差なんて愛さえあればとか、老いてきたら年上のパートナーはボケたり体を悪くしたりするし色々現実が襲いかかってくる訳ですが、そういう事がフィクションの形で表現された作品だと思う。観ていて色々と思い当たる事もあったりなかったり。疲れる作品だった。