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ファントム・スレッドのhorahukiのレビュー・感想・評価

ファントム・スレッド(2017年製作の映画)
4.0
マジでサイコホラーだった…(^_^;)
スルーの予定だったのですが、ホラー展開があるということで急遽見てきました。

中盤までそんな様子全くなかったのに、まさかそっち方面に行っちゃうとは!大々的にはホラーと宣伝されていませんが、興行的に成功させるためにホラーという言葉は未だに表には出せないんですかね…ホラー好きとしては悲しい。そういう点から考えると「ジョナサンデミに捧げる」というのは少し意味深。

でも、今年のアカデミー作品賞は『ゲット・アウト』と本作で、まさかのホラージャンルから二作品ノミネートという素晴らしい年だったのはめっちゃ嬉しいです。

本作は、仕事一筋なツンデレおじさんを何とかしてデレさせようと、ちょっと悪いことをしつつも奮闘する1人の女性の物語。オートクチュールの仕立屋を題材にしてることもあり、衣装、小道具はもちろんのこと、役者の演技や演出からもエレガントさを漂わせてる。そしてそのエレガントさの中にもシュールな笑いを仕込んでいるからクスッときて楽しい。本作の登場人物たちは物凄くストイックなんですけど、時折見せるそのシュールさが人間味に繋がり、非常に親しみやすいキャラクター・物語に仕上がっているのが素晴らしいです。

そして本作が描こうとしたものも、そういった人の二面性とバランス。仕事に対して非常にストイックなツンデレおじさんですが、24時間そうなわけではない。まあ、本作の彼は24時間そうなんですが、どこかで糸が解ける時がくる。それが彼の中にある甘えだったり、他者の愛情を求める気持ち。それで心のバランスを取っている。本作はそのバランスが9-1のツンデレおじさんvs1-9の主人公による結婚をめぐるガチバトルを描いた作品。

自分の理想のためなら、とことん突っ走るツンデレおじさんと、自分への愛情を獲得するためなら、こちらもとことん突っ走る主人公は、相反するものでありながら、そのどちらも少なからず誰もが持ち合わせてる感情。そのバランスを調整しながら人は生きてる。ツンデレおじさんも主人公も一緒。そして、どちらかに振り切れるとそれは狂気に、そしてホラーになる。本作はサイコホラーでありながら決して残虐な話ではない。人の生き方について観客に問いかける非常に現実的で優しい物語。

PTA作品は本作が初で、勝手にアートで難解な作品を作るイメージ持ってたんですが、めちゃくちゃ見やすくて面白い作品でした。劇場に行って良かったです♫