ノーブルな佇まいとダニエデイルイスの力演の所為で誤解しそうですが、PTA作品としては「パンチドランクラブ」以来のシンプル且つ「真っ当」なラブストーリーだなぁ、、と思った自分はどこかおかしいのかもしれませぬ。
まぁパンチドランクと同様、その語り口は一風どころかだいぶおかしいですが。
エンドロールでジョナサン・デミへの献辞もあり「羊たちの沈黙」に似ているかもなぁと鑑賞後思ってたら、町山さんがまさにPTAにインタビューしてて、我が意を得たり。
確かに映画や創作物ではよくあるストーリーフォーマットではあるんですよね。キェシロフスキの「赤の愛」とか。源泉はコクトーの「美女と野獣」か。面白い。
ダニエデイルイスの様な横綱級の俳優に世界的にはほぼ無名の女優をぶつけてきた意図もハマってます。ヴィッキークリープスすごいですね。
もはやPTAの映画に不可欠な存在のジョニーグリーンウッドによるサウンドトラック。本作が歴代ベストワークでしょう。流麗なスコアに潜んだ不穏さ、歪さ。まさにウッドコックそのもの。
ダニエデイルイスの引退宣言なんか、もはや誰も信じないと思うんですけれどw
キノコ入りオムレツを頬張るシーンは、ゼアウィルビーのミルクシェイクのくだりと並ぶ超名演(という知らない人からしたらなんだかよく分からない字面w)
それより、PTAの「今後は家庭の事を第一に考えるよ」的なニュアンスが気になりますが、まぁ、こっちも眉唾かな。本作では撮影も手掛けてるし、まだまだ精力的に映画作って欲しい。「家族」や「安息の地」を一貫したテーマにしていたPTAがある意味到達した境地とも言える本作の後、次はどんな作品を撮るのか。本当に楽しみ。
