ラグナロクの足音

ファントム・スレッドのラグナロクの足音のレビュー・感想・評価

ファントム・スレッド(2017年製作の映画)
4.3
なんと贅沢な映画なんだろう。画面とスピーカーから溢れ出る高貴さに思わず背筋が伸びてしまう。フレグランスまで香りだす。人間ってのは限りなく自己中心的な存在で、夫婦ってのはそのぶつかり合いが最も浮き彫りになる間柄。お互いに妥協を迫られるも譲ることができない、男と女の不都合な真実を見事に炙り出し、痛快な妥協案を提示した(てかアホ)見事なシニカルドラマになっていた。たいてい夫婦ものは最終的には奥さんが牙城を占領しちゃうわけだが。とりあえず、秩序には必ず無秩序が存在しなくては人間は存在を維持できないとゆうことを学んだ。PTAの滑らかなカメラワークと、グリーンウッドの壮大なクラシック、そしてもはや演技が演技でなくってるダニエルルイスの圧巻の存在感。このコンビがもう見れないってのは胸が張り裂けそうなほど残念だ。ダニエルが演じる男に毎度のごとく惚れ惚れし、同時に虫唾が走ってきた身としてはさびしい。引退した彼はまた靴職人に戻るんだろうか。きっとコックス並みの一点物を作るに違いない。
ラグナロクの足音

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