しゅん

ファントム・スレッドのしゅんのレビュー・感想・評価

ファントム・スレッド(2017年製作の映画)
3.2
食器のシーンが印象的だが、全編にわたってとにかく音がうるさい。ジョニーグリーンウッドのスコアも通俗的で、画の邪魔をしつづけている。ノイズを消去しつづける男にノイズを注入する女の物語に相応しく、音が映像に対するノイズとして機能している映画。それはまるでサイレント映画へのトーキーの侵入と呼応するかのようである。

「全然羨ましくないけど本人たちは物凄く幸せそうな男女関係」を描くことにおいて右に出るものはいない谷崎潤一郎を知る人間にとっては、プロット自体は物足りないくらいであって、アブノーマルというほどの愛でもない。重要なのはノイズの在り方であって、そのうるささが結果的に作品のエレガントな笑いを形成する。なかでも男の運転のラフさは爆笑ものであった。

ダニエル・デイ=ルイスのソックスが赤系で統一されてるのが好き。
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