人によって感じ方が変わると思うけど、私にとっては最高にロマンチックな映画。
まず、衣装デザイン賞ということで衣装が華やかなのはもちろんだけど、予想していなかった音楽の良さ！本当に音楽が素敵だった。50年代の英国、それもオートクチュールを題材にしている映画にぴったりなクラシカルな、でも古臭さは全く感じない音楽だった。ジョニー・グリーンウッドに乾杯！
あと、音楽ではないけど音響面で思ったことが、朝食のシーンの生活音。これは余談どけど、邦画のおくりびとで食事シーンの音にこだわったって話(うろ覚え)を思い出した。レイノルズの耳にはこう聞こえるんだろうなと感じさせられるし、同時にレイノルズの神経質さを実感させられる。
ストーリーは本当にロマンチックだと私は思う。アルマに愛してると言われても愛してるとは決して応えなかったレイノルズが、体調不良で床に伏して初めてアルマに愛の言葉を囁き求婚する。自分の主義を大きく変えさせたそのきっかけが、アルマの手によって仕掛けられたものだと気づいた上でオムレツを口にして、笑みを浮かべる。この凄みのある笑み。ダニエル・デイ=ルイスに乾杯。そして極め付けに「倒れる前にキスしてくれ」という台詞。アルマの、「貴方には無力でいてほしい」という台詞もすごい。お互いに常軌を逸しているけど、それをお互いに受け入れあって寄り添ってるの、これ以上なくロマンチックだ。
ダニエル・デイ=ルイスがこの作品を引退作にしたというのも、一言で言うならエモい。職人気質で英国紳士なダニエル・デイ=ルイスの最後の役(予定)がレイノルズかと思うと胸に迫るものがありますね…。
