しーちゃん

ファントム・スレッドのしーちゃんのレビュー・感想・評価

ファントム・スレッド(2017年製作の映画)
3.4
アルマは典型的な
「私と仕事どっちが大事なの?!」タイプ

こういう女が一番怖い。

世話焼きで 看病してる時が一番彼がベイビーになるからそれで満たされる女。

シリルに主導権を握られているのがすごく嫌で、彼が担当する他の女には執念を抱く。

彼はいつまでもマザーコンプレックスであり、それゆえの創作意欲であり、たとえ邪魔するのが姉であろうと彼女であろうと邪魔する奴は邪魔でしかない。

だがあることをきっかけに彼は気を少し改める。
それと反して彼女の朝ごはんは騒がしく上品ではない食べ方が戻り、彼の作品(高貴なドレス)を来て田舎の大晦日のダンスパーティに行ってしまう。
舞踏会のようなダンスではなく、
激しく踊る民族的なダンス、
人はぎゅうぎゅうで
その中に自分の作品を来た彼女がいる、
それを見て怒らないわけがない。

彼のアングルのカメラ目線であるわたし達は憤るに決まっている。
服は場所を選ぶべきで、
彼の生き方を尊重してわきまえて着るべきだと、それが作品を身にまとうべきなのである。

料理のシーンはヒヤヒヤする、怖すぎる。
緊張感が半端ない。

しっかり咀嚼し飲み込んだ後に
彼がにっこり笑顔で
Kiss me girl before I’m sick.
(倒れる前にキスしてくれ)
って言うところはクソびびった。
意味わからん。
尻に敷く側だった男が女に尻に敷かれる瞬間て感じ、意味わからん。
狂気に満ちてて意味わからん。

展開がいろいろ怖かった。
わたしが一番怖いのは
それがこの二人の中でしか理解し得なくて
周りには知られていないということ。

ただこの映画のいいところは
気品が常に漂っていて
服を扱う所作や生活の流れや風景が
とてつもなく美しい。

静かな絵画に誰かが落書きしたような、
そんなお話。
落書きしたらそれはその人の作品(モノ)になる。
そんな文がふさわしい映画かな。

彼は頑固でも仕立て屋ということは
愛でさえオーダーメイドできるということ。
きっとそれが彼に一番フィットしているということ。

典型的に良い映画ではなく、
否定が肯定になるそんな物語だから
評価されたのだろう。

特別好きにも
好きにもなれないけど
この表現は嫌いじゃない。
しーちゃん

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