みなりんすきー

1922のみなりんすきーのレビュー・感想・評価

1922(2017年製作の映画)
3.0
『人生はいつだって不公平よ ここでは特にね』

『いいか──手に入れるためには奪うしかない 人生にはそういう時だってあるんだ』


『神がこの世で善き行いに報いてくれるように──悪魔も邪悪な行いに報いてくれるのか…』


■ あらすじ ■
1922年、ネブラスカ州。ウィルフレッド(トーマス・ジェーン)は、妻アルフレットと息子ヘンリーの3人で暮らしていた。100エーカーもある田舎の広大な土地で農業を営んでいたが、その土地はアルフレットが父から相続したもので、彼女は都会志向があり土地を売却してオマハへ行きたいと話す。しかしウィルフレッドは拒絶、ヘンリーも恋仲であるシャノンと引き離されるのを嫌がり、母親とは完全対立の状態に。しかし売却の話はどんどん進んでゆき、ウィルフレッドは恐ろしい計画を実行に移す…


■ 感想 ■
『1922』

スティーヴン・キングの中編が原作で、日本では劇場未公開、Netflix配信。最近では『ジェラルドのゲーム』もありましたね。スティーヴン・キング、いったいどれだけ小説あるんや……そして映画化されまくり。まぁ、題材として魅力的なものが多いんでしょうね。

主演はあの有名なミステリー映画『ミスト』で父親役として主演を務めたトーマス・ジェーンでした。最初肌の色も黒かったしすごいワイルドな感じだったので分からなかったよ。でも何となく顔に覚えがあって、見てみたら彼でした。同じ父親役でも、こっちはかなりやらかしてますね。あ、いや、あっちでもある意味ではやらかしてたのか……(笑)

1時間半強の映画ですが、雰囲気は常に暗いです。BGMもほぼナシ、たまーにストリングスのシンプル且つ不気味な旋律がちょっと流れるだけ。終始静かで淡々としてる。流れとして、主人公のウィルフレッドが、自分の罪を書面におこして告白するっていうものなので、彼が語り手となり回想されていくかたちで物語が進んでいきます。その語り手もちょこちょこ挟んでくる程度でかなり分かりやすく見易い。こういう語り手のいるタイプの映画は嫌いじゃない。

この作品が言いたいことは非常に明確で一貫してる。つまるところ、【因果応報】【やってしまったことは自分に返ってくる】【殺人を犯した者は地獄に落ちる】そんなところですわ。悪いことして誰にも咎められず逃げようだなんて、そんなの神様が許さないよーって。ラストシーンがそれの全てを物語っていますね。そしてそれがとても恐ろしかった。

ホラーではなくヒューマンだと思うんだけど、結構グロテスクな描写があるのでホラーチックではある。そして今作ではネズミが象徴的なものとして大量に出てくるので、苦手な人はちょっと注意。普段ネズミなんて全然見ないけど、こんなに大量発生してるの見たらふつーに失神しそうだわ……。何が悪いって、壁どころか人間すら食べちゃうところね。悪食すぎる。なんでも齧るもんな。

あとこの時代だったから成り立った計画だよね。今だったら刑事捜査で多分即バレすると思うの。まぁ単に今回の捜査官がちょっとぬるすぎるのもあったかもしれんけど。笑

うーん、人間、悪いことしちゃいけないよねぇ、やっぱり。しみじみ。