じろちぃ

ベン・イズ・バックのじろちぃのレビュー・感想・評価

ベン・イズ・バック(2018年製作の映画)
3.9
依存症患者を扱ったドラマや映画は数多くあるが、この映画はいくつかの点で衝撃的だった。
そのひとつが依存症になるきっかけ。
悪い仲間とつるんで又は興味本位でというお約束のそれではなく、怪我をした時の処方薬での中毒。
ドラマ「HOUSE」でも主人公のドクターハウスが鎮痛剤中毒という設定だった。このパターン、現実にも多いのかもしれない。

情報のアップデートをしていない田舎医者による間違った投薬、
クスリを得るための盗み、
ただ彼女を幸せにしたいがための誘い、
死、
映画の中ではハッキリとした言葉にはされていないものの、母親役のジュリア・ロバーツと同じタイミングで気付き震撼する
教師とのおぞましい「取り引き」、

フィクションではあるがたぶん現実世界でも似たような事が起きているのだろう。

一方、フィクションとは言え、それは安易に作り過ぎだろうという場面もチラホラ。
薬物でもアルコールでも、依存症という病気は、母の愛でなんとかなるものではない。
周りが理解して愛すれば治るものではない。
この気の遠くなるような厳しい1日を、これから何年も何十年も積み重ねていかなくてはいけないのだ。

希望を捨ててはいけないというテーマなのか
希望は捨てないといけないというテーマなのか
ハッピーエンドなのかバッドエンドなのか
ならばどこでどう間違えなければよかったのか
これから彼らはどうすればいいのか

なにもかもが解決しないまま
唐突にぶった切られるラスト。
ダスティンホフマンの卒業のラストシーンにも似た、描かれない「その後」への絶望。

ヘビーだ。
じろちぃ

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