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ベン・イズ・バックのmaverickのレビュー・感想・評価

ベン・イズ・バック(2018年製作の映画)
4.5
監督、脚本はピーター・ヘッジズ。主演はジュリア・ロバーツ。彼女の息子役で薬物依存症のベンを演じるのは、監督の実の息子で『マンチェスター・バイ・ザ・シー』でアカデミー賞助演男優賞にノミネートしたルーカス・ヘッジズ。依存症の息子と、その家族である母親との闘いを描く物語。本作は公開時期がほぼ同じで内容も似ている、ティモシー・シャラメ主演の『ビューティフル・ボーイ』と比較されてしまうと思う。どちらも薬物依存症の息子を持つ家族の闘いの話。違うのは創作と実際の話、母親と父親、という部分。結論としては、どちらも素晴らしい作品に間違いないということ。本作は非常にドラマチックで感動的だ。創作の話ではあるが、アメリカにおける薬物依存者の実態をリアルに感じさせる。薬物依存症となってしまうことがいかに恐ろしいか。愛するわが子がそうなってしまった時、どれほど辛く悲しく苦しいか。安易な気持ちで薬物に手を出してしまうとどんな地獄が待っていて、愛する人にどんな不幸を与えてしまうかを痛感させられる。『ワンダー 君は太陽』でも献身的で力強い母親を好演したジュリア・ロバーツの熱演が本作でも光る。絶対にあなたを見捨てないと、息子に全てを捧げる母親の姿が胸を打つ。大女優である彼女の長いキャリアの中で、最高の演技と評されるのも納得だ。息子ベンを演じたルーカス・ヘッジズも同様である。薬物に溺れる怖さも表現してくれているが、本物の親子にしか見えない愛の通った関係性が見事。互いに大切に思っているのに、どうしようも出来ない現実の残酷さ。でも愛していれば、絶対に諦めなければ、想いの強さが薬に打ち勝つことが出来るのでは。同じような境遇にある全ての人に希望を与えてくれる話で、もう涙が溢れて止まらなかった。何故、薬物に手を出してはいけないのか。それを分からせるに十分。本当に素晴らしい作品であった。
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