Pinkman

ベン・イズ・バックのPinkmanのネタバレレビュー・内容・結末

ベン・イズ・バック(2018年製作の映画)
3.6

このレビューはネタバレを含みます

母の願いはひとつ。ベンが長生きすること。母は聖母マリアのような慈愛と慈悲深い心で息子を包み込む。我が子をこの腕に抱ける喜びは何ものにも代えがたい。生まれた時からずっとそうだった。

ベンが帰ってきたことを歓迎する者もいれば快く思わない者もいる。ベンは被害者でありながら犯罪に加担した加害者でもある。我が子を依存症にし、家族をめちゃくちゃにした犯人への憎しみは決して忘れられるものではない。父は怒りを感じ、母は悲しみを隠せない。薬の問題は本人だけの問題じゃない。家族みんなの問題となる。薬は人を幸せにするどころか関わる全ての人を不幸にする。

薬を断つことと同じくらい昔の仲間との関係を断つことは難しい。最大の親不孝とは親より先に死ぬこと。死んでも問題は解決しない。より家族を苦しめるだけ。

クリスマスの朝にベンに届いた。母から贈られた「安心」と「愛」と「命」。薬でしか得られないと思っていたものはすべて母親が与えてくれた。

人生で「神はいない」と思う日があってもベンのそばにはいつも母がいる。あのまま車で家に帰っていたらベンは死んでいた。最後まで諦めなかった母の息子への思いと執念にベンは助けられた。

最後まで信じる人が最後まで騙される人。
最後まで信じる人が最後に救われる人。


「あなたの存在がプレゼント」



(感想)
子どもが寝る間にサンタクロースはやってくる。いつも楽しそうに遊んでいる幼い妹弟を見ているとベンにもこんなときがあったんだろうなと思わされる。主演二人の演技が素晴らしかった。特に母親の心情が痛いほど伝わってきて心が揺さぶられた。ただラストのシーンに関しては正直冷めてしまった。親子設定であっても50代の大物女優と若手俳優のマウス・ツー・マウスを見せられるのは微妙だった。
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