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ドント・ウォーリーのReoのレビュー・感想・評価

ドント・ウォーリー(2018年製作の映画)
3.6
アルコール依存症の男が、事故により身体を失い、社会復帰を果たすノンフィクション作品。
 
失ってから気付くものは多く存在する。
代表的な例で言うと、生活環境である。私たちは、お腹が空いたらご飯を食べ、動きたい時に動き、眠たい時に寝る。平和で、不自由というものが存在しないから行えることである。もし今作のように、突然四肢麻痺になったら、テーブルの端にある食べ物を持ってくる事や口に運ぶことすら困難を余儀なくされる。生まれながら障害を持ってしまう方もいるが、自身がいつなるかは分からない。病を患うのか、自身で引き起こしてしまうのか。
この世に、身体的、精神的に基準となる人間は存在しないと感じる。だが、人間はやはり不自由を嫌い、楽を求めようとする生き物である。だから、失う前に気付ける事が重要であり、我と向き合う機会を作る必要性を感じた。
 
アルコールおじさん、Mr.ホアキン・フェニックス。
周りの環境に恵まれているからこそ、成功への道が切り開かれたのかなと感じた。カウンセラーやセラピー恋人、友人、温かい街の人々。その中でもどうにかアルコールを摂取しようとする。序盤は、回復の兆しは見えないが、四肢麻痺になったことを含んだ過去の辛い記憶と向き合うことで、アルコールへ貪欲さやミーイズムを反省し、成長していく姿が素敵だった。いわば、自業自得であるが、何故か応援したくなる気持ちがあった。四肢麻痺になると、本作ほど自由に動くことが容易なのかにわかに信じ難いが、障害を持つという事がどれだけ大変であるかも感じられた。もし、街中で車椅子に乗った方を目にし、転んだ時自分がどれだけの役に立てるだろうか。自分と同じ体重ぐらいの方を、介抱できるのだろうか。そういった、日常に当てはめて考えさせられる作品でもあった。
 
追記
ホアキンはもちろん、ルーニー・マーラも安定の演技力。そして、航空員の格好が美しすぎた。そして、どこかで見たことある子いるなと思ったら、「mid90s」の主人公のサニース・リッチもスケーターの子どもとして出演していて、ジョナヒルと何か繋がりを持たせたんかなと思った。
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