とえ

ドント・ウォーリーのとえのレビュー・感想・評価

ドント・ウォーリー(2018年製作の映画)
4.0
ガス・ヴァン・サント監督のティーチイン付き「ドント・ウォーリー」上映会に行ってきた

昔、むかしの話、ガス・ヴァン・サント監督の「マイ・プライベート・アイダホ」を観て、映画の素晴らしさにはまった私としては、とても有り難いイベントだった

この映画のお話は、車椅子の風刺漫画家ジョン・キャラハンが断酒会に通いながら、自分の人生を見つめ直す作品

この世の中に、人生が常に順風満帆っていう人は、あまりいないだろう

うまくいかないこともあるし、不運のスパイラルにはまってしまって、なかなか抜け出せないこともある

そんな時、私たちは何かに依存してその辛さを忘れようとする

映画好きは映画をみるし
音楽好きなら、ライブで思い切り踊ったりするかもしれない
無心でひたすらゲームをする人もいるかもしれないし
SNSで悪態をついている人もいるかもしれない

この映画の主人公 ジョンの場合は、酒を飲むことで人生の辛いことから逃げていた

しかし、その悪癖が、彼の人生をより辛いものにしていってしまう

この映画は、もしも、私たちが、そんな不幸のどん底に陥ってしまった時、どうやってそこから抜け出せばいいのかを教えてくれる

もともと、この映画は監督が「グッド・ウィル・ハンティング」で一緒に仕事をしたロビン・ウィリアムスと共同で進めていた企画だったという

残念ながら、ロビン・ウィリアムスは亡くなってしまったけれど
きっと彼の深い悲しみの中に、ジョンの気持ちと通じる部分があったのだろうと思う

その後、ジョンは酒を断ち切るように風刺漫画を描くようになるのだが、その悲しみを笑いに転化するところも、ロビン・ウィリアムスの気持ちとリンクしていたに違いない

ジョンが、この映画の中でどのように酒や悲しみを断ち切ろうとしたのかは、ぜひ、映画を観て確認して欲しい

私が、そんな彼の姿を観て思ったのは
自分では、悪いことが続いて、何て私の人生は不運なんだと思う時でも、生活習慣を変えたり、自分の気持ちを切り替えたりするだけで、人生は好転するということ

それが難しいから、人はなかなか人生を変えられないんだけれど、何かをきっかけにして、変えるべき時はきっとやってくる

もしかしたら、この映画を観たことをきっかけに、ジョンと同じ行動をしてみたら、人生を変えられかもしれない

周りの人たちは、自分が思っているより優しいし、誰かに頼りたい時は頼っても良いのだ

人生は、案外悪くないよね
と思える映画だった

この映画の中では、断酒会のグループセラピーのシーンが多い
断酒会やグループセラピーが、あまり浸透していない日本で、この映画が受け入れられるかどうかを監督はとても心配していた

グループセラピーは、例えば家族や友人との会話だと思えば、そんなにかけ離れた問題でもないなと思った

最近、落ち込み気味で…とか、どうも人生うまくいかない…と、ネガティブな思考に陥っている人にこそ、観て欲しい作品
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