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ドント・ウォーリーのKUBOのレビュー・感想・評価

ドント・ウォーリー(2018年製作の映画)
3.6
4月6本目の試写会は、ガス・ヴァン・サント監督作品「ドント・ウォーリー」。(原題:Don’t worry, he won’t get far on foot.)

飲酒運転からの交通事故で半身不随となり車椅子生活を余儀なくされるようになった青年ジョン・キャラハンが、アルコール中毒を克服し、風刺漫画家として再起する実話に基づいた物語。

このタイトル、生前、あのロビン・ウィリアムズが映画化を熱望していた作品なのだと言う。だからという訳でもないんだろうが、主演のホアキン・フェニックスの演技も、作品全体の空気感もロビン・ウィリアムズ作品を思わせるハートウォーミングな作品になっている。

アルコール依存症を克服するミーティングから始まる。電動車椅子で疾走する青年。大学の講堂でスピーチをしている(? 有名人なのか?)。いくつもの時間軸を重層的に描く最近流行りの構成で、なかなか全体像が掴みにくい。

事故前後を描くパートになって、やっと時間の流れ通りの展開になるが、事故前はマンガなど描いていない。どういうことだ?と思っていたら、この人、半身不随になってからイラストを書き始め大成した人だったんですね!

劇中にも度々ジョンの描くイラストがアニメーションとなって登場する。描いたイラストが次々と動き出す演出は斬新。見ていて「ん? この絵の感じは見たことあるぞ」と思ったら、このジョン・キャラハンは実在の漫画家だったんですね。かつてどこぞの英字新聞かなんかで見たことあるぞ。

事故で動かなくなった身体を呪いながら、紛らわせるための酒がアルコール中毒となり、依存症と闘いながら新しい人生を歩き始める。

ジョンを取り巻く人たちも温かく彼を見守る。特に依存症のミーティングのリーダー、ジョナ・ヒル演じるドニーは賢者のようにジョンを導き、大きな影響を与える。

入院中の病院での看護婦さんとの◯◯◯もgood! ユーモアもあり、笑えるところも。

割とヘルパーさんに傍若無人な振る舞いは、先日見た「こんな夜中にバナナかよ」を思い出す。実話に基づくところもいっしょだ。でも本作は「バナナ」ほどコメディには寄らず、事故から立ち直り新たな人生を歩み始めるジョンの姿を温かく描く。

どんな逆境からでも立ち上がれるという力強いテーマは、私たちの心ををポジティブにしてくれる。
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