つるみん

ドント・ウォーリーのつるみんのレビュー・感想・評価

ドント・ウォーリー(2018年製作の映画)
3.7
ロビン・ウィリアムズが映画化を熱望した、風刺漫画家ジョン・キャラハンの人生が記されている『Don't Worry, He Won't Get Far on Foot. 』が20年の時を経てついに映画化。

本作の監督、脚本のガス・ヴァン・サントとロビンは1997年『グッド・ウィル・ハンティング』でタッグを組み、それ以降友人の1人として接してきた。この作品自体は1994年にロビン自身が映画化権を獲得して、実際に話を持ちかけたのは丁度『グッド・ウィル・ハンティング』の撮影後くらいだったらしい。


ロビンがこの原作に興味を持ち、どうしても映画化したかった理由は主に3つあると思う。

1つは自分自身が風刺漫画家のジョンと被るからだろう。重度のアルコール依存症やお酒によるアクシデントなどが挙げれるが、他にも風刺ギャグや下ネタ好きという部分も大変ロビンと似ているところがある。まさに自分自身を見ているような感覚になったに違いない。

2つ目は親友クリストファー・リーヴだろう。これはパンフレットにも書いてあったのだが、リーヴが乗馬中の事故で身体麻痺となってしまい、同じく事故で身体麻痺となったジョンを演じる事で、彼のためにもこの役を演じてみたいと思ったのだろう。(クリストファー・リーヴとはジュリアード音楽院時代のルームメイト)

3つ目はガス・ヴァン・サントという監督に出会えた事。実は本作は初タッグをした『グッド・ウィル・ハンティング』と大変似ている部分があり、「許し」をメインに描かれている。恨んでた家族や友人に対する「許し」。それから自分自身への「許し」。あの『グッド・ウィル・ハンティング』での名シーン、名セリフ「It's not your fault.」と全く同じなのだ。もちろんあれを描けるのはガス・ヴァン・サントだけでしょうし、丁度良いタイミングで彼と出会えたことも1つあったのだと思う。


ただご存知の通りなかなか映画化に至らず、2014年8月11日。ロビンはこの世を去った。ガス・ヴァン・サントとの出会いはショーン・ペン主演の『ミルク』の撮影時に挨拶に来た時が最後だったらしい。この『ミルク』も元々はロビンが主演を務める予定だったのだから、なんだかこれまた深い。

今回主演を務めたのはホアキン・フェニックス。大好きな役者さんの1人だ。しかし彼が映るファーストショットに度肝を抜かれる。なんとロビンそっくりな横顔。これには流石に涙が出たし、ホアキンに感謝するしかない。ロビンは役をもらったとしても結局ロビンになってしまう。しかしホアキンは誰にでもなれるというのが彼の持ち味であって、ジョン本人よりロビンを真似たのではないのか?というほど似ていた。ありがとう。

もちろん、ロビンが演じていたらどういう作品になったのだろう?とは考える。けれど、きっとホアキンが演じた本作を観て、天国で笑っているだろう。そして僕だったらココでこうするんだ!とか勝手に話が逸れていって、また編集者を監督を困らせるんだろうな(笑)

主演を演じたホアキン・フェニックスに感謝だし、何より映画化してくれたガス・ヴァン・サントに感謝。また劇中重要となる役にジョナ・ヒルとジャック・ブラックといったコメディかつシリアスな演技もできる2人が脇を固めるのもロビンをリスペクトしてる感があって良い。エンドロールでのSpecial ThanksにRobin Williamsの文字が入ってるところに涙が溢れでた。スクリーンでもう一度、しかも新しい作品でRobin Williamsという名前が見れるなんて。本当にありがとう。


個人的なおまけとして、
一度しか観ていないので確認のしようがないが、『パッチアダムス』『ジャック』『ガープの世界』を匂わすものはあった。
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