斬切りバーニー

日日是好日の斬切りバーニーのレビュー・感想・評価

日日是好日(2018年製作の映画)
2.5
「ねえ、のりちゃん。何て書いてあるの?」
「……何だろ」

茶道教室に通い始めた女子大生が、額縁に飾られた書道を見つめ、そう声にした。ほお、そう読むんですね。私も分からなかったので、主人公達と同じ気持ちで納得する。

久々にこんな静かな映画を見たが、まるで茶道の世界の一端に触れたような、凪いだ気持ちになった。凛とした空気に満たされる茶室、そこから切り取られる庭の移ろい。日々の生活の中で忙殺されがちな、心の平穏を取り戻してくれる。

樹木希林さんの遺作となった今作。茶道の先生役だった。なかなか所作を覚えられない主人公達に、その独特の存在感ある演技で、いつ怒り出すかと私はビクビクだったけど、最後まで優しく穏やかに指導してくれた。

このタイトルを少しネットで調べてみたところ、色んな解釈があるみたいですね。それらの解釈がどれも当てはまるような気もするし、人によって捉え方が異なるのだと思う。この映画を見終えた人達は、どの解釈を思い浮かべるのだろう。

「にちにちこれこうじつって書いてあるの」
希林さんの声が、鮮やかに思い起こされる。