タキ

日日是好日のタキのレビュー・感想・評価

日日是好日(2018年製作の映画)
3.0
直前にクワイエット・プレイスを見たんだけどこちらは単純に音を物理的に判定していて音をたてた時の大きさによって人間の生死が分かれる物語だった。
続けて観た「日日是好日」。これも静かな映画ながら、季節によって変わる雨の音、蹲から流れる水の音、庭の木々の葉擦れの音、降り積もる雪の音、茶釜から柄杓で拯い茶碗に注ぎ込むお湯が夏と冬では音が違うということにまでとても繊細に音というものを表現した物語だった。茶道というカタチの中にその時々の思いが流れ込みその音たちが気持ちに寄り添うようだった。

これが日本人と外国人の違いかなぁとなんとなく思う。日本人は外国人にはない虫の音にも言葉を感じる民族であるというし、音に対する感覚に差があるんだろうなと。

「一期一会」と「日日是好日」
直訳では補いきれないその言葉の本質をこの映画で感じることができる。
一期一会を語る武田先生(樹木希林)の様子には有無を言わせぬ迫力があった。

樹木希林さん
お着物の着こなし、滑らかなお茶のお点前、時に厳しいことを言うけれど典子に語りかける言葉の円やかさ、一期一会の想いを語る凛とした佇まい、素晴らしい演技でした。
ご冥福をお祈りします。
タキ

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