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日日是好日のtaruponのレビュー・感想・評価

日日是好日(2018年製作の映画)
3.8
大学生の典子(黒木華)が20歳の時に母親の勧めで近所の武田先生(樹木希林)のもとでお茶を習い始める。そして、そこから24年、お茶とともにある典子の日々を描く作品。
さして起伏のある事件が起こったりするわけではないのだが、黒木華と樹木希林ならではという存在感を感じさせるし、鶴見慎吾のお父さんが絶妙に良い感じ。
私自身は、お茶を習ったことはなくて、外から憧れをもって眺めているだけの世界なのだが・・・・
なんていうか日本人の精神世界の美しさ、すごさを、お茶の世界を通して改めて実感させられる映画だった。

梅雨と秋雨の音の違いを感じる、掛け軸の瀧の字から清冽な滝の流れ落ちる様を感じる、ひしゃくで注ぎ入れる「お湯はトロトロ」「水はキラキラ」と感じる 等等・・・・
同じ風景のもとに身を置いても、同じ掛け軸をながめても、同じお茶碗を手にしても、そこから広がる世界はその人その人で大きく違う。いろいろなしつらえの中に、どのようにこまやかな自然を感じられるのか それを味わうのがお茶の世界の醍醐味なのだろうか。そしてこういった、例えば俳句であったり、日本画であったり、禅寺の庭や建物であったり、日本文化の中にしばしばみられる洗練された様式、いろいろなものをそぎ落としミニマム化したものに共通して感じれられる美意識や精神世界なのだろうなと思う。
公式サイトに、「静かなお茶室で繰り広げられる驚くべき精神の大冒険」とあったが、まさにと感じた。
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