意味もなく形だけ大事に覚えても形式主義じゃないですか、というもっともな質問に、希林さんが「なんでも頭で考えるからそう思うのね」と優しく諭すようなシーンがはじめのほうにあり、(自分はこういう年の功的な反論の仕方はあまり好きでないけど)希林さんが言うと素直に、それはそうですね、となってしまう。
この応答自体は作品全体に散りばめられた禅的仏教的なものを感じさせる一つの場面にすぎないかもしれないけれど、作品を最後まで見た(感じた)あとにもう一度希林さんのこのセリフに返ってくるとより味わいが深くまた納得するものになるのではないかと思う
たとえ時代が大きく変わっても毎年、毎週のように同じことができることが幸せなんだと気づく、というのは人生の老境に至る人にとるほど腑に落ちる、沁々とした真理なのだろうなと思った
季節や機会ごとに替わる掛け軸の言葉によって場面を展開させていく手法はなるほどだった
