螢

日日是好日の螢のレビュー・感想・評価

日日是好日(2018年製作の映画)
3.5
「人生で起こることはいつも突然。あとは時間をかけてその悲しみに慣れていくしかない。」

母に勧められ、近所の茶道教室に通い出した大学生で二十歳の典子。それから24年間、毎週土曜日はお稽古の日になって…。
典子の人生を、季節の巡りと時代の移り変わりの中で描いた作品。

お稽古シーンが大半を占め、とても淡々と、そしてこじんまりとしたつくり。
けれど、全く退屈を感じないどころか、季節の巡りを繰り返しながら、変わりばえしないようでゆっくりと変わっていく日々を重ねることこそが人生ということを表しているようで、味わい深い。

典子を演じた黒木華のとても自然な雰囲気と、茶道の武田先生を演じた樹木希林の独特な佇まいが、これまた秀逸。

和菓子や掛け軸など、日本の四季の移ろいを感じさせる細かな小物遣いも、派手さは全くないのだけど、目と心を楽しませてくれます。

冒頭で引用した言葉は、典子と家族の突然の別れの際の彼女の心の言葉。
本編には、典子が人生で一つ新しい経験をする度に、このような言葉が紡がれ、印象に残ります。

あまりにも何気ないラストシーンも、なんだかじんわり染みた作品。
螢