「休んでもいいじゃない、おいしいお茶を飲みにくれば」
日々忙しなく過ぎていく時間の中、茶道の時はゆっくりと流れる。季節、音、感触、感覚を全て使ってお茶を立てる。
典子は真面目で不器用でおっちょこちょいな自分が嫌いだった。どんどんと別の道に進んでゆく従兄弟と自分を比べ、将来の不安を背負いながら生きていた。
樹木希林が演じる先生は、ピリッと怖くて、でも優しくて。
同じことが当たり前に出来ることの幸せさ。時が流れて行く感覚がすごく素敵だった。同じ人が集まり、同じことをしても全く同じ会になんかならない。また次会えないかもしれない感覚。
こんな作品が樹木希林の遺作になるなんて、すごく考えさせられる。
日々を美しいと思える気持ち、
なんだか明日が楽しみになる。
心が洗われるような、そんな素敵な映画だった。