乙郎さん

レイニーデイ・イン・ニューヨークの乙郎さんのレビュー・感想・評価

3.5
これがアレンの最終回でも良いのかもしれない。
内容はいつものアレン節というか、ニューヨークを舞台にジャズが鳴って、男女の痴話喧嘩が展開されるというもの。ストラーロの撮影が加わると少し「怖さ」を感じる。アレンの不幸は#metooの時期に出したこの作品が誰から見ても名作というものではなかったことだろう。
いつものこととは言え、例えばエル・ファニングのキャラクターに代表される白痴美的な人物には明らかに今の時代に適合しないものを感じる。ただ、終盤のある告白がまるでこれまでのアレン作品への告解のようで、ここは明確な利点だった。
あの人物の告白には、洗練された作風で人間の愚かさを描いてきたアレンの姿が重なって、それを若い俳優に聞かせるという構図が、なんとなくアレンの最終回がこれで良いのかもしれないという気になった。
乙郎さん

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