みかんぼうや

レイニーデイ・イン・ニューヨークのみかんぼうやのレビュー・感想・評価

3.0
【ジャズの旋律とニューヨークの街並みが作り出す“お洒落”な雰囲気。しかし、決して“お洒落だけ”にはやられないぞ!】

私はジャズが大好きです。20代の頃は都内のジャズバーを開拓し続け、自分もサックスを習い、CDを買いあさりました。ですので、この映画の全編に流れ続けるジャズミュージックは大好物です。作中にも流れるエロール・ガーナーの「ミスティ」なんて、ただただ聞いていて心が癒されます。

北米に3年弱住み、アメリカにも出張に行くのに、ニューヨークには行ったことがありません。が、やはり一度は行ってみたいと思う憧れの街。本作では、お洒落なニューヨークの街並み、セントラル・パーク、メトロポリタン美術館などの景色も楽しむことができます。

そんな、大好きなジャズと憧れのニューヨークを掛け合わせた本作の魅力は・・・・以上です。音楽と映像はなんとも素敵だけど、正直なところ、ラブコメディとして話の内容は全く楽しめませんでした(本作好きな方、ごめんなさい!)。

お洒落な音楽と映像で雰囲気にだいぶ引っ張られましたが、内容は一夜の恋心にフラついた男女のたわいもない会話劇を見させられている、というのが私の印象です。ウディ・アレお得意のウィットに富んだ会話が魅力なのでしょうが、どうも、その会話の内容すらウディ・アレンの映画や芸術に対する知識のひけらかしのように聞こえてしまいました。「この音楽と映像で、こんな会話したらお洒落でしょ?」というウディ・アレンの“お洒落の押し付け”のようなものを感じてしまった私は天の邪鬼でしょうか?

色々あった上での、あの結末も、やっぱり「雨の中こうやって締めたらお洒落じゃない?」というどこか無理やりなラストで好きになれず・・・いや、むしろやや引き気味。

おおっと、ウディ・アレンの作品、比較的好きな作品が多いのにだいぶ酷評に・・・いや、どこか「ミッドナイト・イン・パリ」(同じくウディ・アレン作)のようなただお洒落ではなく設定から捻りの効いた内容を期待していたからこそ、肩透かしを食らったのかもしれません。

あと、主演のティモシー・シャラメ、「君の名前で僕を呼んで」の儚く脆い雰囲気がとても好きだったので、この作品の彼はあんまりハマらなかったです。でも、あまり友達になりたくないタイプだな、と思わせる意味では見事な好演だったのかもしれません。
相手役のエル・ファニングはそのちょっと抜けた感じも含めて抜群に可愛らしいです。ただ、あの無邪気さは作中どおりたくさんの男をその気にさせてしまいますね。

しかし、このレビューで何回“お洒落”と書いたのでしょうか。私のボキャブラリーの少なさを露呈しつつも、それほどに“お洒落”推ししか心に残っていません。でも、★3点台をつけているのは、結局、その音楽と映像自体はやっぱり“お洒落”で映画とニューヨークの雰囲気にはどこかで魅了されているから。ということは、結局、私が勝手に想像したウディ・アレンの思惑にしっかりやられている、ということでしょうか!?
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