たく

レイニーデイ・イン・ニューヨークのたくのレビュー・感想・評価

3.8
郷愁漂うタイトルロールからしていかにもウディ・アレンらしい小品。雨のニューヨークでの男女のすったもんだの一日に、小ネタを挟んでいく展開がクスッとさせてくれる。

田舎の大学生のギャツビーが、秀才だけど自分のやりたいことが見えてない感じで、記者を目指してる恋人のアシュレーと対比されるんだよね。彼女が大物映画監督の取材のチャンスを掴んで二人でニューヨークに乗り込むところから始まり、二人きりで過ごしたいギャツビーと取材にのめり込むアシュレーのすれ違い展開となっていく。憂鬱な雨がなんとも効果的な映画の伴奏になってたね。

大物監督がスランプが原因で行方をくらました時に、「彼は悩み事があると撮影所に駆け込んでノーマ・デズモンドの真似をするんだ」っていうギャグは、ウディ・アレン自身がMe Too問題で低迷してることにグロリア・スワンソンを重ね合わせてるのかなと思った。
アシュレーが人気俳優に拾われて、彼の自宅に行くんだけど恋人が帰って来ちゃう展開は「カビリアの夜」(スイートチャリティ)だったね。
主人公がギャツビーって名前なのが「華麗なるギャツビー」と関係あるのかな?って思ってたら、傷心のギャツビーがバーで謎の美女に「『過去を逃れて』を知ってる?」って話しかける。これらのフリが終盤の母の衝撃の告白に繋がって行くのが上手かった。
たく

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