ちょっとノスタルジックな印象のオープニング・クレジットで、既に心が浮き立った。「これから違う世界に行くのだ」と胸が高鳴る。
旬な俳優たちによる、いかにもアレン監督らしいラブコメディ。
ピアノを弾きながら「Everything Happens to Me」と歌うティモシー・シャラメくんがとても魅力的だ。お金持ちで、美しくて、ポーカーで大儲けしているのに、彼女にほったらかしにされると、こんなに切ない気分になってしまうのね。
役作りの為か、ちょっとむっちりしたエル・ファニングちゃんは、田舎育ちのお嬢さんらしくて、とても可愛い。アシュレーは、都会でセレブと出会って舞い上がってしまう軽薄な女の子ではあるが、エル・ファニングが演じると、どこか品があり、見苦しく感じない。
雨のニューヨーク。じめじめして、鬱陶しそうだが、ウディ・アレンの手にかかれば、とてもロマンティックに見えてくる。
「現実は夢をあきらめた人のものよ」
夢破れて、世知辛い現実を生きねばならなくとも、夢の世界に連れて行ってくれるアレン監督の作品を劇場で観ることのできる幸運に感謝。