『二兎を追っているから、二兎とも得ることがある』
惚れた女を振り向かせるためとんかつも揚げてフロアもアゲられる男を目指す二宮健監督作品は、一歩間違えるとスベり倒すシュールな展開をクオリティ高く描くことによって、ローテンションのまま気分をアゲアゲにしてくれる不思議な魅力がある青春音楽映画。
師匠から放置かれた修行パートで上げた動画がバズっている時点が最盛期ですらあるとか、イベントでミスって挫折した時とクライマックスのパフォーマンスでは何が違うのかとか、ネタ映画的に大変喜ばしいところで映像と音響から生じる説得力に納得させられる。
素材の味を生かして無理に面白くしようとしない演技と演出にはかえってクスッとさせられるし、エモに頼らず真の意味でエンタメ性に徹している作風の何よりも強いテーマ性、外野からガヤガヤ言うのは靴紐結ぶより簡単なのでまずは一口味わってからにしよう。
鑑賞記録
2020.11.03
丸の内ピカデリー１
→おそらく日本で一番大きい劇場で上映するアゲ太郎。音楽映画だけあって実写邦画とは思えないほどに音響のクオリティが高く、良い意味でクラブミュージックだけが印象に残るようになっている。映画に出てきたご飯をめっちゃ美味しく食べるのが真映画飯。
