柊

SUKITA 刻まれたアーティストたちの一瞬の柊のレビュー・感想・評価

3.3
みんな大好き鋤田さん映画。
褒める褒めるどこまでいっても褒める。それを嬉々として聞いている鋤田さん。ちょっと観ているこっちの方が若干恥ずかしくなるくらいの褒め殺し。

鋤田さんの写真の魅力って何だろう?こんなに褒める人のオンパレードなんだから、それも一流どころが和洋を問わず登場してくるんだから絶対的な魅力があるんでしょう。確かにデビット・ボウイやイギーポップのスチール、ジャニス・ジョプリンのボカシなんて同じショットは二度と撮れないと思う。そして、何と言っても時代感はあるものの時代の古さを感じさせないって感じかな。
ご本人が初めて撮ったお祭りに出かける笠をかぶったお母さんの横顔。顎しか出てないけど美しいって文句なく感じる。色褪せない美しさとでも言うのかな。そんな風に世に出ている写真はどれも美しいと思う。それは顔の造作を全て出したものであれ、全く出してないものであれ隠れた写真の奥に隠れて見えないけど美しいものが存在している。

そして最後の方に納得したけど、ミーハーと言う他人からの評価。そして本人も認める他人評。単純なミーハーと言う解釈では無いけど、「ミーハー」ドンピシャだと思った。初めから私が感じていた気恥ずかしさはそれだ!時代に対して物凄くミーハーなんだと思う。どこから見ても普通のおっさんだけどね。流行り物を人より早く嗅ぎ分ける能力を持った時代の寵児と言われてもいいくらいの仕事してるけど、これまで一部の人にしか知られていないと言うマイナー意識を一気に満足させる誉め殺しである。本人もノリノリなのはそんなところに感じる。

そして、鋤田さんよりも気になったのが
鋤田さんを語る人たちの後ろに映る本棚や窓の外に見えるお隣のビルの窓に映る全く関係ない人達の様子。褒め言葉よりもそっちに目を凝らす自分がいた。

最後に一言。デビット・ボウイの美しさは完璧。
柊