るるびっち

50回目のファーストキスのるるびっちのレビュー・感想・評価

50回目のファーストキス(2018年製作の映画)
3.7
意外にコレって、モテない男子の妄想エキスの話かも知れない。
パッケージは洒落たラブコメ、おかしくて切ないデートムービーだ。
元のハリウッド版自体がそのイメージだった。
しかし、さすが福田雄一監督、原作の中に漂う男子的妄想を嗅ぎ取ったようだ。
ハリウッド版当時は『メメント』『私の頭の中の消しゴム』『博士の愛した数式』など、短期記憶障害にまつわる感動作が多く、本作もその一つと認識していた。
だがゲームのように失敗してはリセットを繰り返し、美女に何度もアタックするというのはイケメンの行動ではなくむしろモテない男の妄想だと思う。イケメンなら鉄板の技があり、色々試す必要がない。むしろモテない男子の
理想のアタックといえる。何故なら、一日経てば彼女は記憶をリセットされるのだから、幾ら失敗しても恥をかいても大丈夫なのだ。
だが、あくまでこれはひとつの見方に過ぎない。
本作は難病物ともファンタジーとも、人を想う気持ちを一途に描いたヒューマン・ドラマとも、勿論女子がキュンキュンする恋愛ドラマともとれる。
見る人の興味の持ち方によって、いかようにも見られる多面性を持っている。
多面性を持つと言うのは名作の証だと思う。

恋愛は4年で終わるという学説を聞いたことがある。脳の興奮状態も4年程で終わるそうだ。そうでなくとも人間は、手に入らないものほど輝いて見え、
手にしたものは色あせる。地位も名誉も車も女性も…
どんなに素敵な彼女でも、手に入らないから夜空の星のように輝くので、手にしてしまえば側に居るのが当たり前、それが日常になる。いつまでも人は日常に興奮してはいられない。
奇蹟と思えるドラマチックな出会いも、毎日となれば普通になる。「釣った魚に餌をやらない」心理はそこからくる。

しかし毎日記憶がリセットされ、毎日一からやり直さなくてはいけないなら、2人は永遠に新鮮なままいられる。それはむしろ幸せなことかもしれない。あんなにときめいた異性が、いつの間にか空気のような存在になり、人は目の前の人につい不平不満をぶつけてしまう。出会った時の喜びと感謝を忘れてしまう。しかし、この映画の2人ならいつまでもときめいたままだ。むしろ羨ましい存在ではないか。