TaichiShiraishi

50回目のファーストキスのTaichiShiraishiのネタバレレビュー・内容・結末

50回目のファーストキス(2018年製作の映画)
3.9

このレビューはネタバレを含みます

確かにしっかりとラブストーリーしてました。ていうかこんなど直球の大人のラブコメをシネコンでやってるの久しぶりじゃないか。

オリジナルの50回目ファーストキスに基本的に忠実に作ってある。

1番最初のハワイに行った女性たちの感想モンタージュや、10秒間の友、行きつけのカフェの人たちのビジュアルなども同じ。

オリジナルもかなりコメディなので日本でやるなら福田さんが適任だったんだろう。

元々おふざけ路線度が高い監督ゆえかベタベタ過ぎないラブストーリーになってた。きっとそういうのは本人が照れちゃうんだろうが、むしろ他の恋愛邦画も見習って欲しい。

光の反射で彼女の存在に気づくっていう演出やそれを伏線として使うのも上手いしちゃんと映画的だった。

悲しいシーンでもそこまで大仰なBGM流さず、ハワイっぽいゆったりした切ない曲なのも良かった。ていうかオリジナルもそうだけど、ハワイって舞台のおかげで実は割とヘビーな題材も中和されてるな。


あと、大人のラブストーリーって意味では主人公が一旦ヒロインから離れた時に外圧とかじゃなく自分でやっぱり戻ろうと思い直すところはぐっと来たり。友人に殴られるとかそんなんじゃなくて良かった笑

福田さんが1番期待されるギャグも
ラブコメならではな感じに合わせてきてた。

フィクションに出てくるギャグは観客を笑わせるギャグと劇中の人が劇中の人を笑わせるためのギャグの2種類ある。大抵後者の方は見てるこっちとしてはつまらなかったり、別の意味で機能してたりするんだけど、この映画はその使い分けが上手い。山田孝之が長澤まさみを笑わせるためにやってるギャグも、佐藤二朗が家族を笑わせるためのギャグも見てるこっちまで結構面白く感じるやつもあったし、ムロツヨシが山田孝之にいうちょっとした冗談とか、ビデオメッセージでのギャグとかは面白いプラス相手のための優しさを感じる笑いになってて良かったと思う。

むしろ観客を笑わせるためのギャグが若干今回はキレ悪い気がした。弟のホモギャグとかちょっとしつこいし。

オリジナルの恋愛以上のテーマだった記憶というものについての掘り下げは少し浅かった気が。

俺がオリジナルで感動したのは

「自分が歩んできた人生の体験の記憶は自分だけの物じゃない。自分以外の人と幸せを共有すれば自分が覚えてなくても周りや大切な人が覚えてくれてる」っていうメッセージを究極の形で見せてくれたから。

今作だとそこらへんは割と淡白だった気が。10秒間の友のトムもなんか軽いギャグ要員になってたし。オリジナルのヒロインが施設に入って絵を教えながらトムと触れ合うところもよかったのに。

曲をきっかけに彼女が自分を覚えるかもしれない!って気づいて引き返すくだりもなくなってて、単に夢にあなたが出てきますって理由で絵を描いてたのも物足りない。

ラストもオリジナルのビデオメッセージ見てから外に出て見たらおいおいマジかよ!っていう笑いながら感動しちゃう感じじゃなくて、しっとりあっさり終わってたし。
意外と福田さん控えめな方なんだなあ。


でもちゃんと面白い大人のラブコメで割と広い層にオススメです。
TaichiShiraishi

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