【絶妙な改変で成功していると言えるリメイク作】82点
ーーーーーーー
監督:福田雄一
製作国:日本
ジャンル:恋愛
収録時間:114分
ーーーーーーー
2018年劇場鑑賞56本目。
正直冒頭45分くらいの時点までは否定派でした。元ネタであるアダム・サンドラー版『50回目のファーストキス』に謝ってほしいくらいでしたが、徐々に誘発的に感動してしまいました。コメディ要素が強いですから元ネタが好きな人程今作は微妙かもしれません。ただ元ネタを見てなくてカップルで鑑賞した場合はかなりの満足度を得られるのではないでしょうか。前半だけなら30点くらいでしたが、徐々に急激にスコアが上がった、自分の中でも珍しい作品です。
今作の評価は概ね高い模様。理由はいくつも挙げられるかと思いますが、日本人好みの改変を施しているからだと思います。例えば本作の山田孝之演じる弓削はハワイのガイドでありながら天文学者でもあるというところ。元ネタではアダム・サンドラー演じるヘンリーは水族館の獣医師です。別に獣医師がダメというわけではないですが、ハワイの驚異的な夜空の星を味方にできる天文学者にした方がよりロマンチックになることこの上ないです。事実、夜空を眺めるシーンは感慨深いものがあり、ロマンチック映画として拍車をかけています。日本人の恋愛観としては、こういうロマンチックな場所でロマンチックな事を言われるが良しとする感じがあるので、自然と大多数の鑑賞者に好印象を抱かせているのではないでしょうか。
次に程よいコメディ感が功を奏しているという点です。特に瑠衣の父親と弟のコンビは最強であり、最初はくどくてイライラしたものの、妙にツボにはまってしまい、ラストの方では吹いてしまったくらいです。佐藤二朗の淡々としたツッコミは、時には白けますが今回は良い方向に働いたと感じました。ムロツヨシも良かったですね。主演二人はもちろん、強力なキャストで支えたのも成功した一因でありましょう。
ストーリーは、あまりにも元ネタが有名なのでスルーしますが、実際にこういう状況に陥った場合自分ならどうするでしょうか？自分の夢を取るか、愛を取るか。この二つを天秤にかけている点も良く、改めて愛の偉大さを痛感してしまいます。名作洋画を邦画としてリメイクなんて、嫌な臭いしかしませんでしたが、日本人好みに巧く変更するところは変更してきたので、結果的にリメイク作として成功したと言えるのではないでしょうか。ただ、少し間違えればただのイライラするコメディ映画になり得たので危なっかしいということも否めない。たまたま僕も評価が変わってきただけであり、今作を駄作と評する方の気持ちも何となくわかります。絶賛の声があっても酷評の声があってもおかしくはないかなと思えた作品でした。
ロケーションと音楽も良かったです。良いものを見させていただきました。
