sanbon

50回目のファーストキスのsanbonのレビュー・感想・評価

50回目のファーストキス(2018年製作の映画)
3.4
どこまでも「福田雄一」の悪ふざけ。

まず、僕はこの映画を大いに"勘違い"して観ていた。

今回は、ハリウッド版のリメイクという事以外なんの予備知識もなく鑑賞したのだが(オリジナル版も未鑑賞)、今作を観た際に真っ先に抱いた感想は「福田雄一大変だったなぁ」という同情の気持ちだった。

何故なら、全編に渡って感じる"寒いノリ"がまさか"本意"とは思えなかったからだ。

というのも、今作の主人公は「天文学者」として"新しい天体"の研究をする傍ら、ツアーガイドとして生計を立てる"プレイボーイ"という設定で登場するのだが、僕はてっきりこの設定を活かせる素材が日本には無く、舞台をハワイから"変更出来なかった"から、全編を通してあんな「海外ドラマあるある」のような薄ら寒いコントとして演出する他なかったんだろうなと思い込んでしまった為である。

だって、日本人がとったら明らかにおかしな行動を平然ととらせ、吹き替え翻訳のような明らかに不自然な台詞を、明らかに声優口調で平然と吐かせるそれは、ただの"違和感の塊"でしかなく、もはやコメディとしても成り立っておらず、ベクトルとしては完全に"お笑いのネタ"として作り込まれていた。

そうなると、映画を観るつもりで画面の前にいるのに、全く違うクオリティのものを見せられているもんだから、感じるものも砂を噛んだような"寒気"と"憤り"だけである。

しかし、それも舞台設定を日本に変換出来なかったが故に、笑いの質も"ミスマッチ"な可笑しさを武器にするしかなかったとするならば、福田雄一が"苦肉の策"として選んだ選択肢だったのだと"憐み"という"フィルター"を働かせ、許すことが出来た。

しかも出演者の面々が、福田雄一が全幅の信頼を寄せている俳優陣でガッチガチに固められていたものだから、それが決め手となり今回のオファーは相当苦心したんだろうなといらぬ確信まで持ってしまった。

ところが、後々調べてみるとオリジナル版の主人公の職業は、水族館勤務の「獣医」だという。

…は?

という事は、あのスベりまくりの海外ドラマコントは福田雄一が望んでやっていたという事か。

というより、むしろあのコントを撮りたいが為に、日本に置き換えても全く問題がない題材を、そのままハワイを舞台に大型ロケまで敢行したというのか。

撮影を名目にしてバカンスでもしたかったのか?

うん、やっぱり福田雄一好きじゃない。

はっきり言って福田雄一の笑いはただの子供騙しだ。

どう考えても、キッズ向けの夕方30分枠か、ど深夜のくだらないコメディドラマが関の山と言っていいレベルの作家である。

ただ、そういう存在も居なくては寂しいので、全く必要無いとは決して思っていない。

彼に関しては、単純に"前線"に出て来過ぎているだけだ。

福田雄一はどう転んでも良くて"ひな壇芸人"でしかなく、決して"MC"のポジションに居てはいけない人だと思う。

言うなれば「サンシャイン池崎」が、何本も冠番組を抱えているようなものだろう。

後列のガヤとして、クスッと笑える安定のクオリティを至って慎ましく提供してくれるからこそ好感が持てるものを、世間は何故かそれを勘違いして、福田雄一にも勘違いをさせてしまっている。

メディアもメディアで、人気者だからといって稼働率を上げるだけ上げて、クオリティとしてはそこそこ、言い方を変えればイマイチの物ばかりを当たり前のように世に溢れさせるのは、ただの無責任である。

【福田雄一×(低コスト+低クオリティ)=くだらなくて面白い】という風潮が世の中に氾濫するのはとても危険だと思う。

これに味を占めた模倣品が、どんどんと日本のエンタメの質を貶めていきかねないからだ。

福田雄一は人気もあるし、出演者からの信頼も厚いし、身の丈に合った作品ならそこそこ面白いのは知っているし、認めてもいる。

でも、やっぱり"大作"には関わって欲しくないというのが本音だ。

この感覚を例えて言うなら「YouTuber」の存在だろう。

「ヒカキン」やら「はじめしゃちょー」やらがTVに出ている事の異質感とクオリティの低さ。

それをどうしても福田雄一にも感じてしまう。

どれだけホームでは人気があっても、活躍するフィールドは間違えるなよと思うし、案の定遠征先で結果が残せているかと言うとそういう訳でもない。

それもそうだ。

メディアが見てるのは、"実力"ではなくて"実績"なんだから。

ヒカキンが出ればチビッコが飛びつく分視聴率が上がるのは分かっているし、福田雄一が作れば豪華キャストがバカをやってる分売り上げが見込めるのも分かっている。

だけどそれだけ。

内容的には見れはするし絶対的につまらなくはないが、とびきり面白いものは望めない。

だって、どこまで行っても"くだらなさ"が"面白さ"の人だから。

そして、それを有難がるのは別に良いが、そういう"低水準"を逆手にとったやり口の人に対して、神輿を担ぎ過ぎている感じはどう考えても"異様"としか思えない。

今作も、脚本自体は元ネタがしっかりしている分内容的にはそれほど悪くはなかったが、悪ふざけのような笑いは作品にとってはむしろ邪魔だったと思うし、それが馴染んでいたとも言い難かった。

どうせなら、舞台を日本に移して日本らしい笑いのツボを押してほしかったし、そっちの方がリメイクを作る"意義"は間違いなくあったし、もっといいものが出来たかもしれないと思うと、とても残念な気持ちになってしまった。