船が河面に揺られてゆらゆらと、わたしの心をも揺りかごのようにゆれてゆく。
美しい詩に魅せられ、ともに河を上りはじめた彼の、想いを馳せた旅。
冬の河は、どんなに冷たいだろう。その刺すような冷たさを身体で感じてもなお、生きている意味を問う。
冬にあがる花火は、なんだか忘れ去られた美しさのようで、哀しくてすき。
そんなふうに思ったのは誰だったか。
川辺の町で生まれた君は、"洪水のたびに人が減ってここは美しくなる" という。
打ち捨てられたような君の心を、僕は救えるのだろうか。
君の影と、逃げてしまった父親の魂が出会ったとき、君ははじめて笑い、そして、だから、僕はここに在る。
それは、愛の詩。大切にしまわれていた、想い。
変わりゆくものへの哀愁とそして過去への愛の物語。