ノラネコの呑んで観るシネマ

ウィンチェスターハウス アメリカで最も呪われた屋敷のノラネコの呑んで観るシネマのレビュー・感想・評価

3.2
いつも小粒でもピリリと辛いスピエリッグ兄弟だが、今回はイマイチだ。
舞台となるウィンチェスター邸は、現在では西海岸の有名な観光地だから私も何度か行ったことがある。
いわゆる幽霊屋敷の類では、たぶんアメリカでいちばん有名なところ。
銃器メーカー、ウィンチェスター経営者の未亡人で、自分の一族が銃の犠牲者に呪われていると信じ、霊を迷わすため屋敷の増築をやめないヘレン・ミレンと、彼女の精神分析を依頼された精神科医のジェイソン・クラークが軸なんだけど、この二人にも銃を介した因縁がある。
増築の目的に新解釈がしてあって、それはちょっと面白いのだけど、史実に大胆にフィクションをぶち込んだ結果、突っ込みどころ満載に。
人間と幽霊の関係がゴチャゴチャし過ぎて、結局怖がらせたいのか感動させたいのか、全体が漠然とした印象になってしまった。
広大な邸宅の迷宮構造もあまり生かされてないし、明らかに史実部分を持て余し気味。
いっそホラーじゃなく「永遠のこどもたち」みたいな、切ない系の歴史ミステリで押し通した方が良かったのに。
そういえば昔ウィンチェスターハウス行った時、一箇所やたらと体感温度が低い場所があったな。
同行者は「ここだけエアコン効かせてんのとちゃうん?」なんて夢のないことを言ってたが、アレは何だったんだろう。