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ウィンチェスターハウス アメリカで最も呪われた屋敷のrollinのレビュー・感想・評価

3.3
ウィンチェスターM73が西部を征服し尽くし、さらに近代化が進んだ1906年。舞台はまさにRDR2のサンドニを彷彿とさせる街並みのカリフォルニア州サンノゼ。
死霊館認定確実の幽霊屋敷、もとい飛呂彦先生風に言えば屋敷幽霊と化したウィンチェスター・ハウス。

あまりに優秀な大量殺戮兵器を生み出し、暴力と死から利益を得てきたウィンチェスター・リピーティング・アームズ社並び一族の業。西部劇、ホラー映画ファンならずとも興味を引き立てられるこの題材を以ってして、ここまで怖くも面白くもない映画が出来上がることが一番恐ろしい。

問題は一目瞭然。
怪奇現象の原因が明確で、登場人物たちがそれらを潔く受け入れ過ぎていること。言うなれば最初からラスボスのいるラストダンジョンに飛び込むようなもん。
死霊館シリーズのように現象否定派の存在や、一旦退却といった探検感、当初の予想を覆す真相など、舞台を盛り上げる要素が皆無なの。

ヘレン・ミレン演じるウィンチェスター夫人の雰囲気作りは見事やけど、キャラクターとしては中途半端。
彼女が絶賛無限増改築中の屋敷も美術は良いけど空間としての見せ方が下手すぎ。狭いブロックの繋ぎ合わせで出来たような単調な作りで、画の開放感が無い。それは同時に単調なこの映画のリズムにも繋がっていると思う。

恐怖演出については本当に何も言及することがないくらい地味でつまらない。
死霊館バースに当てはめると、今作は『死霊館のシスター』に該当する“セーブポイントが無い”パターン。その場合はもっと派手に、笑えるくらいやり過ぎな方が良いと思う。

主人公のウルトラマンのような厨二3分設定は嫌いじゃないし、ウィンチェスターシリーズが浮遊するシーンの撮れ高は抜群。坊やの名前がヘンリーと言うのもレバーアクションライフルの史実に絡んで面白い。だけに勿体ない作品でした。
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