よしおスタンダード

ヘドローバのよしおスタンダードのネタバレレビュー・内容・結末

ヘドローバ(2017年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

No.3355

『アイデアをそのまま撮る! (その先については知ーらないっとw)』

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SNS界隈では、ヤン兄弟(弟)(一ノ瀬ワタル)が、中山リュータ(住川龍珠)を何度も平手打ちしているメイキング動画が拡散され、「これ、児童虐待では!?」と物議を醸しています。

住川龍珠さんは2003年生まれ、2017年の本作公開当時14歳です。

そのシーンが、本編ではどのように使われているかを確認したく、本作を見ました。

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結論から言うと、編集によって本当に「当てていない」ようにも見えるし、

本当に「当てている」ように見える箇所もあり、

何度も繰り返して見ましたが、どちらとも断定できない、というのが現在の印象です。

ただし、実際に髪の毛をつかんでいたり、首に手をかけている個所は確認できます。しかし加減がわかりません。じゃ、手加減していればセーフなのか、と言われれば、それこそ問題になっている部分なので、

ここではアウトかセーフか、についての私見は述べません。

問題提起だけいたします。

※反論やご意見いただいても、議論はいたしませんのでよろしくお願いします。通常のご感想等なら返信させていただきます。

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この映画のDVDが、すでに絶版になっていて、本当に見たい人が円盤を探して買うしか見る方法がないような状態になっているなら、なにもここまで細かく問題提起しなくてもいいのかな、という気はします。

しかし現状、DVDは売られているし、レンタルもできる。

誰でも見られる。子供でも見ようと思えば見られる。

さらに、そもそもこの作品は「映倫を通していない」し、その映倫を通していない作品を、アップリンク渋谷で実際に「ボカシなし」で上映していた、という事実もある。

現段階では違法と認定された映画ではないのだから、誰でも見れるのは当たり前だろ、と言われれば反論はできませんが、本当にそれでいいのだろうか、という生理的な、本能的な怖さをこの映画に感じています。

今、誰でも見られることが、怖い・・。

だから問題提起させていただくのです。

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★問題提起1「平手打ちシーン」を幼児に見せるリスク

この「平手打ちシーン」が、仮に、すべて「当てているように見える(実際には当てていない)」編集であり、

したがって住川さん自身の心身の健康には何も問題がなかったとしても、

(それをどうやって証明するのかもまた難しい問題ですが・・)

リュータが本当に叩かれているのか、フィクションなのかが判断できない幼児たちを周囲に配置し、彼らに見せていることは、問題だと考えます。

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★問題提起2「カタワ」の表現について。

私も障害者当事者なので、この言葉は使用したくありませんが、明確にしないと問題提起にならないので、あえて明示します。

私と同じ、障害を持たれている方で、この言葉に強い不快感、トラウマのあるかたは、ここで読むのをやめていただきますよう、お願いいたします。

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「カタワ」は、現状、障害者に対する差別用語、蔑称なので、テレビ・ラジオ・新聞等のメディアでは使用されることは原則、ありません。

メディアでなくとも、実生活でも、この言葉が差別的意味を含んでいることを知っている人の前で、障害者を指す言葉として「カタワ」を使ったら、場合によっては「かなり怒られます」。

さらに実生活の中でもオフィシャルな場だったら、例えば社内文書やメールで使っちゃったとか、

演説など不特定多数のいる場で使ったとか、だと、場合によっては何らかのペナルティも覚悟しなければなりません。それくらいの重い意味を持つ言葉です。

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私も10代の頃、言動に問題のある実の叔父から「お前もカタワだから苦労してきただろうなぁ」と言われ、その頃にはすでに、この言葉が差別用語だと私は知っていたので、

心から深く傷ついたことがあります。

とにかくこの映画、カタワという言葉を多用しています。

なんなら、障害者当人のユリ(洪潤梨)自ら、自分のことを「カタワ」と言っています。

これがこの映画の中でどういう文脈を持つのか、正直疑問だし、よくわかりません。

私は非常に不快に思いました。もし、この言葉の持つ意味を、西村プロデューサーも、監督・脚本の小林勇貴さんも、あまり深く考えていないのであれば、悲しいことだし、憂慮します。

「イキった映画を撮る。爪痕を残す。常識を壊す」って、そういうことじゃないだろうと。

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★問題提起3「未成年者の性器露出と、全裸撮影」について

本編6分すぎ、リュータが男性器を露出し、花に放尿するシーンがあります。

男性器は正面から接写されています。DVDで見たので当然ボカシは入っていますが、実は、カット終わりだけ、ボカシが外れています。

無修正状態になっています。

厳密に言うと、この男性器が住川さん自身のものかどうかは、彼の顔と性器が同時に映っているカットがないため断定できません。

仮に本人のものであれば、やはり看過できません。

これ、未成年女児だったら大問題になってますよ。

男児だとあまり問題にする人もいないのが極めて不自然です。

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このシーンが住川さん自身でなくとも、「誰かの」男性器がドアップになっていることは事実で(映画館で上映された時はボカシすらなかった)、

成年者ならOKなのか?? そもそも、このシーンは、リュータが歯医者の金持ちの息子で、倫理観に欠けていることを表現するために、

路上で立ちションをして花に放尿をするわけです。

その文脈はわかります。

しかし、実際に「男性器」を映す必要は、まったくない。

見せられた側の心理的ショックについては考慮する必要がないのだろうか・・。

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銭湯での全裸乱闘シーンでは、実際に住川さんが全裸になっています。

全身が写っているので、これは本人だとわかります。

性器も映っています。

これは未成年者の性的搾取等、何らかのルール違反には当たらないのでしょうか。

「大人がみんな性器を露出しているから」という理由で、未成年者を全裸にして撮影し、上映することが、法的にはどう解釈されるのか、お詳しい方がいたらお願いいたします。