TaiRa

恋は雨上がりのようにのTaiRaのレビュー・感想・評価

恋は雨上がりのように(2018年製作の映画)
5.0
疾走する小松菜奈、ブスっと睨む小松菜奈、ムフフと笑う小松菜奈、悶々とする小松菜奈、涙を浮かべる小松菜奈、小松菜奈、小松菜奈、小松菜奈……。超絶。

優秀な陸上選手だったが怪我で部活を離れた女子高生あきら。彼女が恋い慕うバイト先の冴えないファミレス店長はかつて作家を夢見た文学青年だった。青春の挫折に降る雨と雨宿りの恋。心に空いた穴を埋める為に人は恋をし、時には創作をする。店長によってあきらは走り、あきらによって店長はペンを走らせる。張り裂ける胸の痛みも淡い初恋の思い出に、再び喜びを教えてくれたミューズとの別れもやがてかけがえのない物語に。

撮影監督を務めた写真家の市橋織江の仕事が素晴らしい。光の捉え方が上手く女優を美しく撮る手腕は抜群。奥行きを意識させる構図が多く、ファミレス店内の見せ方も良い。キッチンからフロアへの視線など。長回し移動撮影も決まってる。テーマに真摯に向き合い登場人物の批評も織り交ぜた脚色も見事。映画ならではのアレンジや整理も上手い。演出に関しては良い点悪い点それぞれ。大泉洋の芝居は軽過ぎる。漫画の芝居をそのままトレースしてしまうから映画の芝居に見えない。それでも後半はマシになる。実際に大学時代からの友人である大泉洋と戸次重幸の配役は良い効果をもたらしたと思う。芝居以外の演出は概ね良い。店長が車であきらを送る場面、直球で攻めてくるあきらからの緊急回避と正面から来たトラックを避けるアクションが重なっている。直後に踏切で停止するのも2人の関係の一時停止を表す。あきらのデートの約束を取り付ける強引さにたじろぐ店長を通過した電車の光が照らす。あきらが走る時、車やバイクの走行音が聞こえてくるなど音の使い方が上手い。嵐の夜のお見舞いシーンは特に演出が冴えてる。停電のタイミング、明点と理性、敷居を越える店長、暴風雨と冷えピタ。翌朝になってからのフレームインギャグも秀逸。ラストの切り返しショットも2人を映すサイズの違いが完璧。アップが入るのはあきらだけ。最後の言葉が最初に掛けた言葉とセットになっているのも上手い。繋がりを求めるシンプルな告白。21歳の小松菜奈の魅力を存分に映した記録映画としても偉大な作品。