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恋は雨上がりのようにのTSUBASAのレビュー・感想・評価

恋は雨上がりのように(2018年製作の映画)
4.0
【再生の物語】85点
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監督:永井聡
製作国:日本
ジャンル:恋愛
収録時間:112分
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2018年劇場鑑賞52本目。
これは良作。原作未読なので比較は出来ませんが普通に心に響きましたし、人生の面白おかしさを感じれる作品でありました。見やすさも抜群であり、全ての人にオススメ出来そうな映画です。

女子高生の橘あきらは陸上競技で輝かしい成績を残していたが、ある日アキレス腱を断絶させてしまい走れなくなる。途方にくれた彼女はとあるファミレスでバイトをし始めるのだが。。

永井聡監督は『帝一の國』や『世界から猫が消えたなら』を世に送り出している監督で、これら全て自分としては傑作であったためどうやら相性が良いのかもしれません。
JKが45の中年男に恋をすると言う話で、ここだけ切り取ってみると奇抜な設定でありますし、生の女子高生の意見もきになるところです。ただ、それだけが理由で今作を駄作としてしまうのは何とも勿体ないと思います。今作はたしかに恋愛映画ではあるのですが、重要なのは恋愛ではないのです。今作は道を失ってしまった人間が恋愛という経験を経て再生していく物語なのです。はっきり言って、あきらと店長が結ばれるか否かというのは冒頭から大体わかります。むしろそこからあきらがどう再生していくのか、そしてあきらに感化された店長もどう前に進んでいくのかというところが今作の最大の見所なのです。

あきらは陸上で活躍していましたが、その武器と言える足を怪我してしまい、復帰することは難しいと思っていました。そして追い詰められた時にたまたま立ち寄ったファミレス、店長の大人の対応。傷ついて弱くなってしまった時に何気なく優しくしてくれる人には思わず好意を抱いてしまうものです。あきら自身コミュニケーションに難があったため、今回のシチュエーションはレアだったのでしょう。自分に助けの手を差し伸べてくれた店長が直感的に好きなのであって、年や顔とかは関係ないのです。また、店長がお人好しすぎる優しい人間であったということも良いポイントだったのでしょう。しかし、世間的には頼りない男とされている。モテない。あきらに毎回サンドイッチを作ってはデートに誘うあの兄ちゃんとは対照的です。こういうちょっとチャラい男の方が世間ではモテるわけですから、世間の普通を疑ってしまいたくなります。

店長が実は小説家を目指していたという設定もよく、二人で図書館に行くところなんてのは今作で一番印象に残ったところでした。店長は部下からはゴミ以下の存在と罵られますが、オフの部分では輝いている。誰だって良いところがある。社会的弱者へのエールにも見えました。

時折コメディを混ぜてくるのも程良かったですし尺もちょうどよかった。そして大泉洋だからこそ、なーなーだけど嫌いになれない良きおっさんを演じれたのだと思います。クールを装う女優として小松菜奈を抜擢したのも良いところ。ラストがあそこで終わるのはどうなのかと賛否がわかれそうなところですが、あれ以上映すと今作の主軸がブレる気がするので、あれくらいで良かったと思われます。雨の日にでも見たい、そして不思議と見てよかったと思える作品でした。