三畳

恋は雨上がりのようにの三畳のレビュー・感想・評価

恋は雨上がりのように(2018年製作の映画)
4.2
歳の差という設定でありながら、こんなにも恋愛の陽の面、それも刹那的ロマンスでない、人生におけるかけがえのない贈り物を真正面から見せてくれることに感動。

「あなたと出会って私は変わった」という喜びが溢れていて、雨宿りと言っちゃうにはもったいない気がする。

多くの映画がリアルさを追求して、人間臭さとか立ち行かなさとか、尺のほとんどが陰の面ばかりじゃん。

ではこの映画はリアルさを犠牲にしたファンタジーかというと、そうでもなくて、女子高生あきらが惚れたのも頷けるようなおっさん店長の魅力をちゃんと描ききっていく。

会話やエピソードは出来すぎてて象徴でしかない感が強いけど、文学が好きな店長の空気に引っ張られてる…と思おう。


そして原作キャラの再現度がね!

正直、小松菜奈で発表された時は「無いな」と思ったんだけどいざ観賞してみると、「この女の子があきらだ」と認識させられてく吸引力があった。

ガチャ目、とは言わないのかもしれんがミステリアスな瞳は、漫画あきらの一生懸命さに合わないし、太くて存在感の濃い唇と眉が、スラッとしたイメージにそぐわないと思ったかな。
でもルックスの差を演技の力でつめていくのは見ものだった…。女優さんってすごい。
触覚や後毛のないレトロな画風通りのまとめ髪が気持ち良い。

久保さん/濱田マリは大正解だし、ユイちゃん/松本穂香は、すずさん時のあのまったりした声がここではペタペタした風になるのね、と感心。

なんといっても喜屋武の圧倒的陽キャ!この世界観の日光担当。一番胸を打たれるのはあきらでも店長でもなく喜屋武だよな!恋には体当たりできてもよっぽどこっちのが難しい距離感。今作で知った清野菜名さんの名前を忘れない。

倉田みずきの物語が始まる音楽もエモかったなー。
それ以外の人のサイドストーリーを軒並みばっさりカットしてるのも見やすくて良かったけど、吉澤の前髪ネタだけは入れてほしかった。

漫画ではわかりやすい功績を残して終わるけど、立ち上がったこと自体に重きを置く映画ラストの方が好きかも。
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