むらさきの月

ゲティ家の身代金のむらさきの月のレビュー・感想・評価

ゲティ家の身代金(2017年製作の映画)
4.0
あれ? この作品の監督ってリドリー・スコットだったよね…
観終わった時 何故か念を押している自分

リドリー・スコットの「ゲティ家の身代金」を試写で鑑賞

観終わった正直な感想は
これ、本当にリドリーの監督作品?
という言い方は変なのかもしれないけど
コレほどまでに演劇的要素が強く出た作品は
彼の作品の中でもお目にかかったことがなかったのでビックリ
現代版シェイクスピア作品を垣間見た感じで新鮮

巨万の富を築き上げているにもかかわらず
自分の孫の身代金を出さないゲティ家当主と
誘拐された息子の母親との対決
誘拐犯と母親の対決
ピンポイントに整理され緻密に構成された物語に
ハラハラ&ドキドキさせられて
2時間を超える上演時間を気にする間もなく
惹きこまれていく 極上のエンタテイメント作品

リドリー・スコットの明確な演出プランに
ミシェル・ウィリアムズとクリストファー・プラマーらの
卓越したガチンコの演技が加わると
真実じゃないフィクションでさえも事実のように思えてくる

特に印象的だったのは
元CIAのチャンスとプラマー演じるゲティ家当主の対話シーン
チャンスに腕をとられて振り払うゲティの表情
ゲティが唯一動揺を見せ、歯車が狂った瞬間を表現したプラマー
その一瞬の演技に鳥肌が立つ
代役の上に短期間での撮り直しで演じた役とは思えない 
完璧なゲティ像を演じたクリストファー・プラマー 
恐ろしい80歳を超えた現役アクターの怪演を
観に行くだけでも価値がある作品

主演だけでなく
今回は魅惑的な共演者たち恵まれた作品だったとも思える
特に、誘拐犯役の俳優陣の存在感とアンサンブルの演技も圧倒的
この素晴らしい出演者をキャスティングしたスタッフの手腕は凄い…

今回のこの作品
久々に「映画」の面白さを教えてくれた1本だった
これからも
こういう面白い作品と出逢えますように。
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