とえ

ゲティ家の身代金のとえのレビュー・感想・評価

ゲティ家の身代金(2017年製作の映画)
4.5
面白かった〜
次の展開が見えず、ワクワクドキドキしながら観た作品だった

イタリアのローマで、世界一の富豪 ゲティ家の孫ポールが誘拐されてしまう
母は、息子を取り戻すために義父に身代金の支払いをお願いするが、あっさりと断られてしまう…
しかし、犯人グループから身代金の要求は続き…

イタリアは、コロッセオのような建造物や、ミケランジェロのような芸術家を生んだ優雅さの裏で、パパラッチやマフィアを生み出す下劣さを併せ持つ二面性のある国である

この映画は、そんなイタリアを舞台に
世界中の金を握ると言われる富豪ゲティと、なんとか彼から金を引き出したい貧困層の人々が、孫を間に駆け引きをするサスペンスである

ところが、観客を含めた多くの人々にとって、ゲティは全く予測できない行動をする

大富豪の思いがけない行動にあっけにとられ、口をあんぐりと開けてしまうことが度々あった
この映画は、その「ゲティの予測できなさ」が非常に面白いのだ

そんなゲティの行動は、ポール曰く「他の星からやってきた人間」であって、庶民が理解できると思ったら大間違いなのだ
なぜなら、彼はそうやって人がしないような行動をして、富を築き上げた人間だからだ

世界でも1%の富豪に属するゲティが、99%の庶民と同じ価値観で行動するはずもなく
私たちが、彼の行動が理解できないように、彼も、私たちの行動を理解できないのだ

そこに気付いたポールの母ゲイルは、ゲティの心を動かす大一番を打つ

これは、実際にあった話をベースにして、映画化されたもので
イタリアという国の二面性と、この誘拐事件の富裕層と貧困層の対立軸が、見事にマッチした作品だった

富豪のゲティよりも、誘拐犯の方に人情や温かみを感じるところに、なんとも言えない皮肉を感じた
とえ

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