あくとる

ゲティ家の身代金のあくとるのネタバレレビュー・内容・結末

ゲティ家の身代金(2017年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

常に予測できない展開の連続、息をつく暇のないスリリングな作品。
再撮影のゴタゴタがあったとは全く感じさせない出来。
リドリー・スコットによる思わず溜め息が出てしまうほどクールで美しいビジュアルに満ちた133分。
なんでこんなにかっこいい画が撮れるのだろう…

"ゲティ家の人間は普通じゃない。"
J・P・ゲティは世界一の金持ちでありながら世界一の守銭奴。
映画の序盤、彼は"price less"という言葉は嫌いだと言う。
彼は骨董品や美術品のような"値段をつけられる物"しか信用できない男。
値切ることに関しては一切の妥協が無く、クリーニング代すら惜しむ。
そんな男の孫が誘拐されて身代金を要求されるが、ゲティは一切払う気が無い。
どうする母親!?
…ってこんな話面白いに決まってるじゃないですか!

緊急登板になったにも関わらず、クリストファー・プラマーの演技が本当に素晴らしい。
常に金勘定でしか動かず、血が通っていないような非情な決断をするも、家族に対して愛が無いわけではない(…?)というゲティの複雑さ。
誰にも看取られることなく、絵画を手にひっそり息絶える最期にも哀愁が漂っていました。

そんな誘拐犯よりもよっぽど厄介な帝王ゲティに戦いを挑むのはミシェル・ウィリアムズ演じるアビゲイル・ハリス。
こういう"強い女性"キャラって下手な人が描くと、ただ気が強いだけで感情的でわがままなキャラになっていることがあり、これって逆に女性に失礼だろ!って腹立つことがあるんですが、本作のゲイルは全くそんなことありません。
追い詰められながらも常にどっしりと構え、理性を保とうとする芯の強い女性です。

さすが巨匠リドリー・スコット。
自分は文句なく楽しめた一作です。
見終わって"自分はお金持ちじゃなくて良かったなぁ"と思いました(そもそもなれないけど…)。