わたがし

ゲティ家の身代金のわたがしのレビュー・感想・評価

ゲティ家の身代金(2017年製作の映画)
5.0
 画面がとにかく綺麗に創り込まれている。バチっと構図がキマっていて、綺麗な照明がこれまたバチっと逆光で映り込んだり、物や役者の顔に反射したり。そこには滑らかにカメラが動く快感があり、どこをスクショして切り取っても絵画として美術館に展示できそうな静止画の美しさもあり。リドリー・スコットの映画って毎回そんな感じだけど、今回は特にそれを強く感じた。流石、熟練の巨匠の仕事だなあ。話はあんまり面白くないけどなあ
 結局、物語を通して徹底的な善も徹底的な悪もなくて、それぞれがそれぞれの倫理観で自分の正しさを主張し続けるのを延々観させられるしんどさ。しかも全員が「絶対自分は正しい」と思い込んでる一番面倒臭いタイプ。「人の命のために金払わん外道が!!」とか「リスク回避のためならひとりぐらいしゃーなし!!」みたいな人として底辺の争いをずっと観させらているうちに、人間の命の価値を人間が量る愚かさ、でも結局は量らざるを得ない状況に追い込む資本主義社会の恐怖とか、普段あまり考えないことをいろいろ考えさせられる。
 ミシェル・ウィリアムズ は最初から終わりまでウスターソースのかかったトンカツにタルタルソースかけたような濃厚な芝居をし続けていて良かった。そして所作のひとつひとつがめちゃくちゃエロい。電話しながら肘をついて腰を突き出すポーズとか本当にすごい。無意識のエロティシズム。でも、ただエロいだけではなく(当たり前)、辛抱強く目の前の壁を乗り越えていく強気のヒロイン、というところに(安易だけど)最近観た「エイリアン」のリプリーを重ねる。リプリーもエロいし強い。
 マーク・ウォールバーグは今回は珍しくインテリ役なのかなと思ったら相変わらず空き時間に筋トレとかしてて良かった。再撮影で勝ち取った高額なギャラを世間のバッシングを受けてすぐセクハラ撲滅団体に全額寄付するかわいいマーク・ウォールバーグ。マーク・ウォールバーグは俺たちを裏切らない。みんなで一緒にマーク・ウォールバーグを応援しよう。